トランプ相互関税に日本は反論すべきだが、「コメ政策の根本的見直し」が大前提4月2日、2025年国家通商見積もり報告書のコピーを掲げながらスピーチするトランプ大統領。このあと各国に対する追加関税を発表した Photo:Chip Somodevilla/gettyimages

日本への24%の相互関税、9日発動
非関税障壁などに誤った理解

 4月9日、トランプ政権は「相互関税」を発動した。日本は非関税障壁を含めると46%の関税をアメリカに課しているとし、それに対して24%の相互関税を課すとした。中国に対しては104%、EU(ヨーロッパ連合)に対しては20%など約60の国と地域への発動だ。

 相互関税実施の方針が発表された4月3日の日経平均株価は、寄り付きから下落。約8カ月ぶりの3万5000円割れとなり、円ドルレートは前日より円高が進み、一時1ドル=145円台を付けた。

 その後も、日経平均株価は9日も前日比1298円安で3万1000円台まで下落、アメリカや世界の株式市場も不安定化な動きが続いている。

 相互関税率の算定根拠の中には、誤解や独断、あるいは単純な誤りが含まれている可能性がある。

 トランプ政権はかねて、日本の消費税やEUの付加価値税を非関税障壁と見なすと主張していた。

 しかし、本コラム『トランプ大統領「消費税は“非関税障壁”」の誤解、むしろ深刻な問題はほかにある』(2025年3月20日)で指摘したように、こうした見方が適切か否かは、国際課税の原則として「仕向地課税」と「源泉地課税」のいずれを是とするかに依存する。またコメの関税率についても誤った数字が吹聴されている。

 日本に対する24%という相互関税税率がどういった根拠に基づいたものなのか、日本政府はまずは24%の根拠を精査し、そこに問題があれば、アメリカ政府に指摘し再計算を求める必要がある。

 以上は最低限必要とされる対応だが、日本政府はさらに、相互関税は、第2次大戦後の世界経済の拡大を支えた自由貿易に対する重大な挑戦であること、関税が課される国の経済活動に深刻な影響を与えるだけでなく、関税負担をアメリカの消費者が負担することになるため、アメリカでも物価上昇など深刻な負の影響が生じること、その半面で生産活動のアメリカへの復帰は期待できないこと、などを正面から指摘し、その撤回を要求する必要がある。

 WTOへの提訴やEUやカナダとの共同戦線の形成などを行うことも必要だ。

 ただし、正攻法で反論するには重要な前提条件がある。