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【精神科医が教える】「やりたくないこと」を頼まれたとき、損する人は「ガマンして引き受ける」。では、幸せ体質の人はどうする?Photo: Adobe Stock

時間は無限ではないというお話

 今日は「時間は無限ではない」という、とても大事なお話をしたいと思います。

 もしかしたら、どこかでお話ししたことがあるかもしれませんが、改めて共有しますね。

なぜ、ついやりたくないことを引き受けてしまうのか?

 人は、嫌なことややりたくないことでも、なんとなく引き受けてしまうことがありますよね。押し切られてしまったり、断りづらかったり、揉めたくなかったり……。

「まあ、できなくはないし」「ちょっとだけなら」といった曖昧な気持ちで引き受けることも多いと思います。こういう時って、自分が今やっていることに“ちょっとだけ上乗せして頑張ればいい”という感覚で判断しているのではないでしょうか。

実は、人生の時間は有限なのです

 でも、ここに大きな落とし穴があります。それは「人生の時間は無限ではない」ということです。もし時間が無限であれば、嫌なことに時間を使っても、その分は“プラスアルファ”で済みます。

 しかし、実際には時間には限りがあります。つまり、嫌なことに時間を使うということは、その分、本来やりたかったことの時間を削っているということなのです。

「時間の損失は2倍」と考えるべき理由

 この発想をもう少し踏み込んで考えると、こうなります。

・嫌なことをやっている時間が発生する
・同時に、本来やりたいことをやる時間が削られる

 つまり、嫌なことを引き受けたときの損失は「その作業時間+失われた可能性の時間」の2倍になるのです。

 私たちは、この“見えない2倍の損失”に気づかないまま、なんとなく引き受けてしまうことが少なくありません。

自分を優先できなかった後悔

 私たちはつい他人を優先し、自分を後回しにしてしまいがちです。そうして時間が過ぎてから「あれ? 自分の時間がまったく残っていない……」と気づいてショックを受けることがあります。

 その「やれていなかった自分の時間」こそが、もう一つの損失なのです。時間が有限であるからこそ、失った時間は取り戻せません。

嫌なことを引き受ける前に、自分に問いかけてみよう

 ですから、「ああ、やりたくないな」と思った時には、こう自分に問いかけてみてください。

これは、本当に自分の時間と可能性を犠牲にしてまでやるべきことだろうか?

 その問いを一度でも自分に投げかけてみるだけで、不要な“なんとなくの引き受け”が減るはずです。そして、自分の人生の質が少しずつ変わっていくと思います。

時間を守ることは、自分を守ること

 今日お伝えしたかったのは、時間は有限であるという事実を前提に、物事を引き受ける判断をするべきということです。

「時間が無限でない」という感覚を常に心の片隅に持っておくだけで、嫌なことを断る勇気が少しだけ持てるようになります。ぜひ、自分の時間と自分自身を大切にしてくださいね。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。