
学歴レースや出世レースを勝ち抜いた「優等生」が成功する時代は終わり、「ナンバーワン」よりも「オンリーワン」が成功できる時代となった今、周りと比較せずに育てられた「早生まれ」の子どもたちは、才能を開花させる確率が高いのだという。これからの世の中で活躍する子を育てる秘訣を、脳科学者が解説する。※本稿は、瀧 靖之『本当はすごい早生まれ』(飛鳥新社)の一部を抜粋・編集したものです。
親が「比較しない」と
子どもが強く育つ
早生まれの子育てにおいてよく聞く言葉に、「のんびりと子育てができた」という声があります。
「早生まれ一斉アンケート」(注1)の中の「早生まれの子どもを育てる中で、接し方などに意識したことはありますか?」の回答において多かったのは「特にない」というものでしたが、自由回答には次のような文言が散見しました。
他の子と比較をしない。
月齢で見て問題なく成長していればいいかなと思っている。
その子の成長に合わせて、接している。
あまり比較しすぎないようにする。
そのうち追い付くのであまり意識していない。
このような回答からは、「その子自身の発達を見よう」「周りと比較しないようにしよう」という親の意識が感じられます。
この「比較しない」というマインドセットは、子育てだけでなく、人が社会で生きていくことにおいて非常に大切なものだと感じます。これは現代社会を生きる早生まれ族にとって、大きな強みになると考えます。
「早生まれだし」と思い込んで
微妙なサインを見逃すことも
「比較をしない」ことのプラス面をお話しする前に、一点だけ注意を。
少数ではあるのですが、「早生まれだから」という気持ちが、子どもの微妙なサインを見逃すことになってしまった例があります。
「早生まれだから言葉が遅くてもしょうがないと思っていたら、知的障害や発達障害だった」と後悔する気持ちを持つ親御さんもいるからです。
一方で、「幼い頃から障害だとわかってしまったら、子育てが不安に押しつぶされてしまったかもしれない。気がつかないでよかった」という方もいます。こればかりは、人それぞれです。
ただ、もし何か不安を感じたときには、「早生まれだから」という理由で蓋をせず、一度ゆっくり考えてみる、誰かに相談してみるというステップを踏むようにしましょう。
ネット社会の情報量の多さが
自己肯定感を下げる
現在私たちは、莫大な情報に囲まれています。