
競争の場において、遅生まれの子に「歴然とした差」をつけられがちな早生まれの子。その対策として親がすべきなのは「子どもの自己肯定感」を上げることなのだ。16万人以上のMRIを見た脳科学者かつ早生まれの子どもを育てる著者が教える「適切な声かけ」「うまく褒めるコツ」とは。本稿は、瀧 靖之『本当はすごい早生まれ』(飛鳥新社)の一部を抜粋・編集したものです。
早生まれの子の自己肯定感が
低くなってしまう理由とは
なぜ早生まれ族(編集部注/2月1日生まれの作家・綿矢りさによる命名)の自己肯定感は低くなってしまうのでしょうか?
小学校の低学年くらいまでは特に、個人差があるとはいえ、身体発達には歴然とした差があります。小学校のある時期までは、「足が速い」「スポーツが得意」な子が人気だったりもします。運動ができる子は、クラスの代表になることも多く、結果的に評価される機会も多いものです。
人から評価されれば、自己肯定感は上がり成績も上がりますから、それが遅生まれの子のプラスのサイクルを回すことにつながっているかもしれません。
早生まれの子どもを育てる
親に聞いてわかったこと
編集部で行った「早生まれ一斉アンケート(注1)」でも、体格や体力に対する不安が示されています。この調査は、国内で0~18歳の早生まれの子どもを育てている男女100人(養育者の性別:男57、女43)を対象に実施されました。
「子どもが早生まれであることによる影響を感じたことはありますか?」という質問には、「はい35人」「いいえ55人」「わからない10人」。3割を超える人が、早生まれの影響を実際に感じているという結果が出ました。
自由回答(35人)による主な影響の上位3つとそのコメントは、次のようなものでした(複数回答あり)。
発達・発育の差(保育面) 7人
成長の差(学業面含む) 5人
「周りと体格が違う」
「身長が低くて心配」
実際に子育てをしている親御さんにとっての困りごとは、圧倒的に「体格・体力・スポーツで不利」というところにありました。年齢が低いほど、ここは顕著に現れる部分だと思います。
幼稚園や保育園は、初めての集団生活ということもあり、他の子どもと比較して心配になってしまう様子も見られました。
「オムツはずれの時期に差がある」
「みんなについていけない」
園の生活で感じる不安が、ここに示されています。
学業面に関しては、それほど多くの言及はありませんでしたが、「教えてもらう立場になりやすい」というコメントがありました。