家族にとって
理想の中学受験を考える
次に取り組んだのは、志望校選びでした。関西出身の私は、東京の中学受験事情にまったく詳しくありません。そこでまず考えたのが「家から最も近い私立中学はどこか」という単純な視点でした。
そこで見つけたのが「開成中学校」。自転車で行ける距離にある学校が、まさかの日本最難関校のひとつでした。
→おー、開成中学校ってのがチャリンコで行ける距離にあるぞ!
→わぉ、偏差値めちゃ高いやん!
→こんなトップ校合格したら、かっこいいなぁ!
→まぁまだ3年生やし、がんばれば行けるっしょ!
→おーい、この学校を目指してがんばってみよっかぁ!
といったノリで、長男は小学3年生のゴールデンウィークから中学受験を、しかも開成中学校への挑戦を目指すことになりました。
「チャレンジできたらかっこいいな」という軽い気持ちが、次第に本気の目標へと変わっていきます。
最初は親が勝手に決めた目標でしたが、学校の近くを通るたびに「中学1年の時には新校舎が完成しているよ」などと話しかけるうちに、長男も自然と目標として意識するようになりました。実際、小学4年生の書初めには自ら「開成」の文字を書いていて、親をびっくりさせたのです。
何よりも重視したのは
「親がラクをすること」
このように始まったオトクサ家の中学受験では、2つのことを大切にしました。
1、家族の時間を犠牲にしない
2、費用をできる限り抑える
親の精神的負担や費用面での不満においては、一見、非常識とも思える理想です。しかし、これは単なる思いつきではありません。家族の現実的な制約の中で、最善の方法を模索した結果でした。
「塾に通わず、子どもの自走により、最難関中学校に挑戦!」
これをわが家の目標とし、その理想に挑戦したのです。
この目標で特に重視したのは「子どもの自走」よりも、その裏にある「親がラクをすること」です。
一般的に中学受験は「親子で乗り越える困難」として時に美談のように語られます。