さすがのトランプ氏も強引政策を見直し?

 90日延期の発表後も、米国債は売られ長期金利は上昇基調で推移。4月11日、10年債流通利回りは一時4.59%まで上昇した(終値は4.49%)。主要投資家は、トランプ関税が米国および世界経済に深刻な影響を与えると警戒している。

 さすがのトランプ氏も、強引ともいえる関税政策を少し見直す気になるかもしれない。政策を微調整するような発言が増えている。

 11日、米国政府はスマホ、ノートパソコン、メモリーチップ、半導体製造装置などを相互関税から新たに除外した。ちなみに米アップルやマイクロソフトは相互関税に備えて貨物航空機をチャーターし、海外からIT製品を急遽、空輸して米国での在庫を積み増した。航空貨物便の料金は需要が急増したことで、1カ月程度の間で40%前後も急騰した。

 トランプ氏は、中国に対する追加関税を145%に引き上げると、習近平氏と「取引をまとめたい」と発言。米国と中国は政治や安全保障面で対立しているものの、経済の相互依存度は高い。

 貿易戦争の激化は米国、中国、さらには世界経済を大きく毀損するだろう。関税引き上げが政権への批判につながることに、トランプ氏も懸念はしているはずだ。

 2026年11月には、トランプ氏にとって最大の課題である中間選挙が行われる。しかし今、経済界からもトランプ関税に対する懸念や批判が増えている。選挙を乗り切るためには関税政策をどのように修正すべきか、中国や欧州との取引を改めて見直すべきだろう。トランプ氏が10%関税に一部例外を設ける可能性があると発言したのは、そうした認識が背景にあるはずだ。

 すでに、相互関税発表による株価下落で、米国の家計の金融資産は目減りしている。この点も政権批判の要因になり得る。トランプ氏の政策スタンスは徐々に変容しつつあるはずだ。

※下記は「トランプ相互関税」の一覧(4月9日時点)