
「変化に対応しようとする人」と
「様子見するしかないという人」
大きな地殻変動であり、頭の切り替えが必要な時期が来ているのかもしれない。
トランプ米大統領が相互関税を発動した影響で、日経平均株価が乱高下している。メディアやSNSなど幅広い意見をウォッチし、ヘッジファンドや富裕層、霞が関など筆者のネットワークでも議論しているが、「変化に対応しようとする人」と「様子見するしかないという人」に分かれている。
筆者が特に気になっているのが、世界最大の経済・軍事力を持つ覇権国である米国と、世界の基軸通貨である米ドルの姿・形が変わる可能性だ。2025年のトランプ関税は、17年就任時のものとは質もインパクトも違う。
当時、筆者は金融業界でトレーダーとして取引していたが、グローバルなサプライチェーンを無視できるわけがない、これは「トランプ劇場」だと割り切って見ていた。その後はコロナ禍もあったが、グローバル分業体制は大きく変わらず、米国の主要製品はスマートフォンも自動車も航空機も国際分業において製造されている。
しかし今、トランプ大統領は、それも承知の上で関税強化に踏み切ったのかもしれない。大規模な関税を材料に各国と交渉をすると同時に、米国内で取り残された人々の影響を受けて動いているようにも見える(詳細は後述)。
そうなると世界大戦後に確立された国際通貨の管理体制、自由貿易の仕組みの延長ではなく、1920年代以降の米国保護主義も含めて歴史に学んでいく必要を感じる。
次のページの図を見てほしい。ダウ平均株価の長期推移をグラフにしたものだ。1900年代初頭の米国ダウ平均株価の年率リターンは3%程度である。それが、どのような経緯をたどって今では何パーセントになっているか。