10月に入ると、内定者懇親会が開催されることがありますよね。懇親会を開催する企業の思惑とはなんでしょうか。
新刊『ありのままの自分で、内定につながる 脇役さんの就活攻略書』は、特別なガクチカも将来の夢もなかった普通の就活生=「脇役さん」の著者が、1000冊以上の本を読み込み、自分だけの就活戦略をつくりあげ、食品超大手を含む22社から内定を得た実体験から生まれた一冊です。
「長期インターンにも行っていないし」「自己PRで語れることがない」――。
そんな普通の就活生が、どうすれば自分に合う企業に内定を取れるのでしょうか? 就活に不安を抱えるすべての学生、そしてその姿をそっと見守る保護者の方に届けたい、内定につながるリアルな戦略が詰まった、まったく新しい就活本です。今回は、内定者懇親会に隠された企業の思惑について著者である藤井氏が特別に書き下ろした記事をお届けします。

新卒 就活Photo: Adobe Stock

内定者懇親会とは?

内定者懇親会とは、内定をもらった学生たちが集まり、社員や同期と交流できるイベントのことです。

ざっくばらんに話せる雰囲気で、入社前の不安をやわらげたり、同期とのつながりを深める目的があります。

具体的な内容ですが、下記のようなプログラムで行われることが多いですね。

・社員や内定者同士の自己紹介
・座談会やフリートークの時間
・若手社員との交流会
・グループワークやレクリエーション
・会社の今後のビジョンや事業紹介
・先輩社員によるキャリア体験談の共有

また、企業によっては宿泊を伴う合宿形式やオンライン開催になることもあります。

企業が内定者懇親会に力を入れる理由

そして近年、この内定者懇親会に力を入れる企業が増えてきています。

それはなぜかと言うと、「内定辞退を防止するため」です。

現在は就活生が優位な売り手市場なので、企業側はとにかく内定を出した人に入社してもらいたいと考えています。

また就活終盤で内定辞退されてしまうと、採用活動を再開できず、目標の採用人数に達しないまま採用を終了することになりかねません。

こうした背景があるからこそ、企業は内定者懇親会に力を入れて、「この同期たちと仕事がしたい!」「こんな先輩がいる会社なら絶対に入りたい!」と思ってもらい、内定辞退を防止しようと考えているのです。

内定者懇親会だけで企業を判断するのは要注意

内定者懇親会はその企業や、先輩社員、同期を知る意味で参加価値は大きいです。

ですが、一方で内定者懇親会だけでその企業の良し悪しを判断するのは要注意なんですよね。

特に大手の企業だと、内定者懇親会に参加した先輩や同期と同じオフィスに配属されない可能性があります。

その結果、「内定者懇親会のメンバーは最高だったのに配属されたオフィスの人たちは合わないな」というミスマッチに繋がる可能性があります。

これは内定者懇親会だけでなく、就活中の会社説明会でも同じことが言えます。

よく「人事担当者が良い人だったからその会社に決めた」という話を聞きますが、印象が良い人を人事担当者として置いている可能性もありますよね。

よって、内定者懇親会や会社説明会だけでその企業を判断せず、以下の内容でチェックすることをおすすめします。

・現場の社員さんから聞いた具体的な仕事内容が自分に合うかどうか
・残業時間の長さ
・年間休日数
・離職率(内定者懇親会は楽しいのに離職率は高いという場合は要注意)
・口コミサイトの口コミ
・その他、自分が絶対に欲しい条件と避けたい条件

上記のような点もチェックしたうえで、内定者懇親会にも参加する。こうした姿勢が、入社後のミスマッチを避けるためにも重要です。

内定者懇親会で見極めるべき“違和感”の正体とは?

ここまで内定者懇親会に参加するときは、注意も必要だと分かりました。

ではもう少し踏み込んで、参加したときに「こんな違和感を感じたら注意しよう」という点も話したいと思います。

例えば、参加したときに次のような違和感を感じたら、それについてしっかりと吟味する必要があります。

・話している社員がどこか無理をしているように感じた
・雰囲気がやたら盛り上がっていて、少し置いていかれた気がした
・「自由な社風です」と言っていたけれど、上下関係が強そうだった
・先輩社員の話がどれもキラキラしすぎていて現実味がなかった
・内定者同士の会話にどこかギスギスした雰囲気を感じた

人の「直感」には侮れないものがあります。

自分が感じたこうした違和感は、「大丈夫か」と投げやりにするのではなく、先輩社員に「実際のところどうなんですか?」と聞いても良いでしょう。

他にも口コミサイトに目を通して違和感が正しいかどうか確認するのも有効です。

内定辞退を考えたときにやっておくべき2つのこと

内定者懇親会に参加して、入社を確信する人もいれば、反対に辞退を考える人もいるかと思います。

特に先ほど紹介した違和感を何個も感じたら、「この会社は自分に合わないかもな」と思うでしょう。

内定者懇親会後に内定辞退を考えたとして、次の2点に注意してください。

・「辞退する理由」を紙に書き出しておく
・辞退のタイミングは戦略的に判断する

「辞退する理由」を紙に書き出しておく

まず第一に、安易に辞退して後悔しないように、辞退する理由を紙に書き出しましょう。

そうすることで、後から後悔したときなど、「こういう理由で辞退したんだな」と腑に落ちるんですよね。

また紙に書く工程で、本当に今辞退すべきかどうか考える時間を作ることができます。

可能であれば、内定辞退せずに就活を続け、より志望度の高い企業からの内定が出てから辞退する方が心の余裕も保つことができます。

余談ですが、僕も常に手のひらサイズのメモ帳を携帯していて、少しでも何か悩みがあれば書き出すようにしています。

考えたことを紙に一度書き出すことで、頭の中でぐるぐるとループすることがなくなり、スッキリするのでおすすめです。

辞退のタイミングは戦略的に判断する

次に、内定辞退するタイミングについて戦略的に判断することを大切にしましょう。

仮に内定者懇親会に参加した企業からの内定しか出ていない場合、その企業の内定を辞退すると余裕がなくなる可能性があります。

そこで内定先に対して、「もう少し就活を続けさせてください」と素直に伝えて、内定辞退するタイミングを後ろ倒しすることも検討しましょう。

僕の実際の経験上、「内定が1社もない時の面接」と「志望度の高い企業からの内定が既にある時の面接」とでは、その緊張度は数倍違いました。

内定辞退は企業側のためにも早めに伝えるべきですが、できれば後ろ倒しして就活を続けることを検討してみてください。

(本記事は『ありのままの自分で、内定につながる 脇役さんの就活攻略書』に関連する書き下ろしです