ここからは、リーダーシップの具体的な要素についてお話しします。
一部の外資系企業をはじめとして、リーダーシップには次の5つの要素があると説明されることがあります。風雪を経て進化してきた考え方なので、汎用性も高く、役に立つことも多いでしょう。その5つとは、
・Envision(エンビジョン)
・Engage(エンゲージ)
・Energize(エナジャイズ)
・Enable(イネーブル)
・Execute(エクスキュート)
です。
Envision(エンビジョン)とは、ビジョンを描くことです。「自分たちがどのように世の中に貢献したいのか」を掲げるパーパスにも似ていますし、「達成すべきこと」として目的を示すのにも似ています。
「我々はどのような世の中をつくり、どうなりたいのか」と、理由抜きに賛同したくなる未来を語ることができれば素敵です。人類の覚醒とスペース・ノイドの自治を語ったジオン・ズム・ダイクン、地球連邦政府からの独立を掲げたギレン・ザビ、いずれも明確なビジョンを示しました。
Engage(エンゲージ)とは、掲げられたビジョンをメンバーが自分ごと化できるよう促すことです。これができないと、組織はうまく動きません。ガルマの仇討ちを語ったランバ・ラルですが、隊員たちは全員が心底納得していたように思います。ラルへの信頼がそうさせたのかもしれません。
人心の掌握(しょうあく)は理をもってするも情をもってするもよしですが、彼はその両方を持っていたのかもしれません。こうした自分ごと化は、部下だけでなく一緒に行動する他部門とも共有することで、協働しやすくなるでしょう。
Energize(エナジャイズ)とは、勇気づけたり元気づけたりすることです。力を与えるのでEmpower(エンパワー)と呼ぶこともあります。士気が高まることで、人間はできることが増えます。つまり、総資源量を増やすことに繋(つな)がります(※前回参照)。
マチルダさんからの励(はげ)ましは、その後もずっとアムロを勇気づけ続けました。セイラさんの有名な「あなたならできるわ」もEnergizeです。中でも傑出している例は、ジオングで出撃するシャアに向かって技術士官が放つ「大佐なら、うまくやれますよ」でしょう。上司に対するEnergizeは、ときに重要な働きをします。