Enable(イネーブル)とは、できるように支援や能力を与えるといった意味です。補給もままならないホワイトベースに、レビル将軍はマチルダの補給部隊を派遣します。「できるよう能力を付与する」ために資源の追加をすることは、典型的なEnable行動です。

 既存の資源であるRX‐78‐2にマグネット・コーティングを施して、できることを増やしたのも同様です。資源の拡張もEnableの手段だといえそうです。Enableは機械やモノに限ったことではありません。

 ガンダムの世界ではシミュレーターでトレーニングを積んだとするセリフが散見されますが、そうしたトレーニングや研修も、できなかったことができるようになるわけですから、非常に重要なEnableです。

書影『ガンダムでわかる現代ビジネス』(SBクリエイティブ)<br />音部大輔、田中準也、豊後祐紀著『ガンダムでわかる現代ビジネス』(SBクリエイティブ)
音部大輔、田中準也、豊後祐紀著

 また、『機動戦士ガンダム』第2話ではブライトが「ガンダムの整備をしておけ、人を使ってもいい。アムロ、君が中心になってな」と指示します。責任と権限を明確にし、人を使ってもいいと手段も与えています。Enableの立派な例といえます(このように権限を与えることをEmpowerと呼ぶこともあります)。

 Execute(エクスキュート)とは、実行という意味ですが、実行を促す仕組みの構築なども含みます。軍隊の活動では仕組み化や規律、マニュアル化は頻繁(ひんぱん)に行われていると思われます。

 そうした仕組みによる再現性のあるオペレーションは、軍人ではないミハルの家でも見られました。カイがミハルの家に行ったとき、自然に弟と妹がミハルの側に行きます。それを見てカイは「へっ、よく仕込んであるよ」とこぼします。ミハルと幼い弟・妹との3人チームで実行可能な仕組みを確立しているのは、彼女のリーダーシップの発現といえるでしょう。

 いかがでしたでしょうか? スキルとしてのリーダーシップを身につけるべく、Envision(エンビジョン)、Engage(エンゲージ)、Energize(エナジャイズ)、Enable(イネーブル)、Execute(エクスキュート)の5つを意識して行動してみてください。