高シェア企業への集中投資こそが
半導体株投資の正解となる理由は?

――組入銘柄数は2025年3月末時点で24銘柄と、あまり多くないですね。組入比率1位のエヌビディアが29%を占めています。

加藤 半導体市場は製品のコピーが難しく、参入障壁が高いという特徴を持っています。そのため、市場の寡占化が進みやすく、資金力と技術力がある強い企業がさらにシェアを拡大していく傾向にあります。そのため、高成長な市場でありながら、競争環境悪化のリスクが低い特殊な市場構造です。

 過去15年を見ても、指数の構成上位銘柄はほとんど変わっていません。このような市場の特徴から、当ファンドでは、成長テーマの中で高い競争力を持つ大手の企業に集中投資する戦略をとっており、結果として組入れ銘柄数が多くないということになります。

――この1年あまり、半導体株は生成AIのブームで急上昇した印象もあります。バブルではないのでしょうか?

加藤 たしかに、短期的な過熱感が見られる銘柄も一部にあることは否定できませんが、市場全体としてバブルであるとは考えていません。PERなどの指標で見ても、半導体株は市場全体と比較して割高な水準にはなく、むしろ成長性が過小評価されており、割安とさえ言えます。半導体関連株の上昇は、市場の構造的な成長と企業の収益力に裏付けられたものであり、バブルとは性質が異なると考えています。

 もちろん、半導体市場にも景気変動や在庫調整といったリスクは存在します。トランプ関税が半導体市況に与える短期的な影響についても精査が必要です。それでも、長期的な成長トレンドを大きく変えるものではないと考えます。

――中国発の生成AIであるDeepSeekの登場は米国の半導体株にマイナスとならないのでしょうか?

加藤 DeepSeekは、大規模言語モデルを小型化して使いやすくする技術という面では、非常に良い技術革新であると考えています。既存の大規模言語モデルは、正確な診断はできるものの、時間がかかりすぎたりコストがかかりすぎたりという課題がありました。DeepSeekは、例えるならフルスペックの「大学病院」に行く前の「かかりつけ医」のような役割です。

 DeepSeekの登場は、AIの利用者を増やす可能性があります。結果として、より高性能な半導体の需要を拡大する方向に働くと思われます。実際に、半導体メーカーの担当者に話を聞いても、DeepSeekが業界にとってネガティブとの意見は出ておらず、むしろ歓迎する声が多い状況です。

 したがって、DeepSeekは米国の半導体株にとって、必ずしもマイナス要因ではなく、むしろプラス要因となる可能性もあると考えています。

――長年にわたって高成長を続けてきた半導体市場ですが、今後も成長は続くのでしょうか?

加藤 長期的な視点で見れば、半導体市場にはまだまだ大きな成長の可能性があると考えています。半導体市場は、2025年から2030年にかけて50%強、拡大すると見込まれています。やはり大きな魅力は、どんな成長テーマにも半導体は必須であるということです。AI、IoT、自動運転、クラウドも宇宙開発も、あらゆる分野に半導体は不可欠であり、より高性能な半導体が求められるトレンドは変わらないでしょう。

 様々な製品の付加価値を決めるものとして、半導体がより重視される傾向は続いていくはずです。そういった意味で、中長期での成長は大いに期待できると思います。半導体市場が過去50年以上にわたって高成長を続けてきたといっても、半導体株が世界の時価総額に占める割合は依然として小さく、まだ成長する余地は十分に残されているといえるでしょう。この投信も、高成長が続く半導体市場からの恩恵を最大限反映できるよう運用を続けていきます。


◆世界株部門(テーマ型) 最優秀賞
野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」とは

半導体や半導体部品、半導体製造装置の製造・販売を行う企業のみに特化して投資。設定は2009年8月で、15年以上の運用実績がある。米国だけでなく、台湾やオランダ、韓国などの企業も投資対象だ。上昇率は、今回対象となったすべての投資信託の中で断然トップ。半導体市場の成長が投資信託の成長に直結し、高い成績を記録し続けてきた。

ダイヤモンド・ザイ NISA投信グランプリとは
ダイヤモンド・ザイでは1年に1回、「NISAで買える本当にイイ投資信託」を部門別にランキングし、上位のファンドを表彰している。人気や知名度ではなく、データを最重視した完全実力主義のアワードだ。「1.どれだけ上がったか(上昇率)、2.どんな時も下がらない(下がりにくさ)、3.ずっと優等生(成績の安定度)」の3つの独自基準で評価を行う。また、非常に人気があり多くのお金を集めているにもかかわらず成績が振るわない投資信託も、「もっとがんばりま賞」として発表している。

<ダイヤモンド・ザイNISA投信グランプリ2025>
[2025年]受賞投資信託30本一覧

日本株総合部門
日本中小型株部門
米国株部門
世界株部門
新興国株部門
リート部門
フレッシャー賞
もっとがんばりま賞
(番外編)インデックス型「最安ランキング」
▼当グランプリの「選定基準」はこちら⇒https://diamond.jp/articles/-/363017