
ダイヤモンド・ザイNISA投信グランプリ2025の「世界株部門(テーマ型)」で最優秀賞を受賞した投資信託が「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」(野村アセットマネジメント)だ。半導体関連株に特化した運用で、2019年~2024年までに基準価額を5倍以上に伸ばしており、上昇率は今回の「投信グランプリ」で評価対象となった投信の中で断然トップ。圧倒的な成績の秘訣を、運用担当者の加藤明さんに聞いた。(ダイヤモンド・ザイ編集部)
15年で20倍以上も基準価額が上昇!
なぜ半導体株はこんなにも伸びるのか?
――半導体株に着目した投信はほかにもあるなかで、抜きん出た成績を記録してきた理由は何でしょうか。

加藤 一般的なテーマ型投信では、半導体関連のソフトウェア株なども投資対象に含まれることが多いのですが、この投信は半導体メーカーや半導体製造装置メーカーといった、より狭義の半導体株に特化しています。
これは、半導体市場の特性を踏まえた戦略です。半導体は技術革新のペースが速く、常に高い成長が期待できる分野です。あらゆる分野でデジタル化や電動化が進展し、その需要はますます拡大しています。一方で、参入障壁が高いという特徴もあります。多額の設備投資や特許の問題などから新規参入が難しく、市場は寡占化が進みやすい傾向にあります。
そのため、この投信では、成長著しい半導体市場において、高い競争力を持つ大手の企業に厳選して投資を行うことで、効率的なリターンを目指しています。
――長年にわたって高いパフォーマンスを維持している点がすごいですね。
加藤 設定されたのは2009年8月で、すでに15年以上の運用実績があります。基準価額は、分配金再投資後で設定時の20倍以上に成長しています。もし、設定来から毎月10万円ずつ積立を続けていれば、合計の積立額1880万円に対し、評価額は1億7000万円になっている計算です(2025年3月末時点)。長期にわたって半導体株に特化して運用されているファンドは珍しく、その点も当ファンドの強みと言えるでしょう。
高成績の最大の要因は、半導体市場そのものの成長力です。過去50年以上にわたり、半導体市場は世界のGDP成長率の2~3倍という高い成長率を維持してきました。スマートフォン、クラウド、電気自動車、5G、そして現在のAIブームなど、ありとあらゆる技術革新に半導体が必要とされ、需要が拡大してきたといえます。各時代の成長テーマにおいて高い競争力を持つ大手企業に厳選して投資することで、市場の成長と寡占化の恩恵を享受してきました。
――具体的にはどんな半導体株に投資しているのでしょうか。
加藤 基本的な考え方として、その時々の成長テーマの中で、高い競争力を持つ大手の企業に集中投資しています。現在の大きなテーマは、AI(人工知能)とIoT(モノのインターネット)です。
具体的には、AI関連では、高性能なGPU(画像処理半導体)で圧倒的なシェアを誇るエヌビディア 、AIサーバーをつなぐ通信機器向け半導体に強いブロードコム 、最先端半導体の製造をほぼ独占しているTSMCなどが挙げられます。
IoT関連では、スマートフォンや自動車などに搭載される半導体の高性能化に貢献するクアルコムや、そうしたデバイスにメモリを供給するマイクロンなどに注目しています。