たとえば、女性の社会進出に声を上げて反対する人は、もはや皆無でしょう。しかし「あなたの奥さんには、どうしてほしい?」と尋ねれば、「やっぱり、家にいてほしいかな」という答えが返ってきたりします。
同じように、経営者や管理職に「どんな社員を好むか」と訊けば「あまりモノを言わず、わきまえてくれるのがいい」というのが本音で、村社会をつくりたがる体質は変わっていないのです。
たくさんの企業を見てきた経験から言うと、社員が元気をなくし、辞めていく会社には、特徴があることに気付きます。
たとえば、目標が非常に高く設定され、クリアしなければ評価が下がるために誰もが頑張りすぎている会社が、昨今とても多いです。リストラによる早期退職で人が減ってしまい、残った人たちの負担が増しすぎている企業も目立ちます。
残業時間規制を守るために、サービス残業を強いたり、形だけ管理職に昇進させて残業手当をカットしたりする企業もあります。管理職になって仕事量とサービス残業が増え、給料は減っていくのでは、モチベーションを維持するのは困難です。
上司より先に帰れない雰囲気も、日本企業に付き物です。上っ面だけ健康経営を守ろうとして、闇が深くなっていると言えます。
社内の連絡事項や日報を書くのにかかる時間が無駄だ、という声もしょっちゅう聞きます。
リモートワークが可能かどうかもポイントです。現実として家事負担の多い女性の場合、在宅勤務はとても助かるものです。ところが企業や個々の上司によっては理解がなく、自宅でこなせる仕事なのに「出てこい」と命じるような、いまだに昭和っぽい会社があるのです。
ある企業の経理部では、コロナ禍のあと「全員、また出社するように」と命じられました。やがてその会社は、経理業務を海外の企業に丸投げしてしまいました。大半の業務をオンラインで進められることが、図らずも明らかになったのです。