老後にボケて「心貧しくなる人」と「豊かで幸せになる人」、スマホを見れば一発でわかる決定的な違いとは?写真はイメージです Photo:PIXTA

AI時代が到来したことで一番得をするのはシニア世代だと指摘するのが、高齢者専門の精神科医・和田秀樹氏だ。パソコン、インターネット、メール、スマートフォンなどのIT技術に苦手意識を持っているシニアも多いが、AIはまったく別物。使いこなすスキルが必須なITと違ってAIの使い方は簡単で、話しかけるだけで何でも手伝ってくれるのだ。スケジュールの管理や電話、エアコンの遠隔操作も、すべてAIにおまかせでOK。その驚きの利便性を解説する。※本稿は、和田秀樹『AIを賢く利用して 老後を図々しく生きる』(日本実業出版社)の一部を抜粋・編集したものです。

シニアに不利なIT時代を経て
便利なAI時代がついに到来

 高齢になると記憶力が衰えますし、50代、60代になると「前頭葉」の機能が本格的に低下していきます。前頭葉は主に感情の制御をつかさどる部位なのですが、「大脳皮質」と呼ばれる脳の表面の実に41%を占めています。ちなみに、人間ほど前頭葉が発達している生物は他にはおらず、前頭葉が「人間らしさ」を担っている部位だともいえます。

 前頭葉が衰えると、感情のコントロールが難しくなる、意欲や創造性が低下するといった影響が出ます。さらに、新しい情報や考え方に対する柔軟性も失われ、頑固になったり疑い深くなったり、ということもあるのです。

 年齢を重ねると、つい保守的な行動を取りがちです。たとえば、何かしら便利な方法を教わっても、昔からやってきた方法を変えるのは面倒くさい。料理はいつも同じものをつくっているほうが落ち着くから、新しいメニューには挑戦しない。挑戦を大きな負担に感じてしまうのは前頭葉の衰えが原因です。

 記憶力もあって前頭葉が元気な若い人々に比べたら、同じことをやるにしてもシニア層にはハードルが高くなります。小中学生のほうが圧倒的に覚えは早いはずです。自分で使えることを前提とされたIT時代は、シニアには不利な環境だったのです。

 AIが実用化されるまで、デジタル技術の主役といえばIT、つまり情報技術でした。パソコンにインターネット、メール、スマートフォンもすべてITの産物です。新聞や本で調べものをしていた時代から、GoogleやYahoo!などの検索エンジンを使えば、いつでもどこでも世界中の情報を入手できる時代になりました。

 最近ではSNSが浸透していますから、年代問わずユーチューブやフェイスブック、X(旧ツイッター)やインスタグラムなどをチェックしている方もいらっしゃるでしょう。

使いこなすスキルが必須なIT
命令だけで動いてくれるのがAI

 ITの進化をあらためて振り返ると、本当に便利になったものだと実感する反面、ITは新しい格差を生みました。パソコンやスマートフォンといったコンピューターを使える人と使えない人との「情報格差」です。