誰しも悩みや不安は尽きないもの。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 30代を悩まず生きる言葉』(ダイヤモンド社)など、33万部突破シリーズの原点となった『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日一日がラクになる!

無駄に思える経験も、すべて価値になる
今日は、「人生に無駄なことはない」というお話をしたいと思います。これは私がよく話しているテーマでもあります。
人生の過程では、そのときどきに「成果が出ずに徒労感に襲われた」「無駄なことをしてしまった」とか「今までの時間は何だったんだろう」と思うこともあるかもしれません。
でも、私はそれも含めて絶対に無駄にはなっていないと思っています。なぜなら、人生で起きたことはすべて、自分の中にレコーディングされているからです。それはあなた自身の人生の価値そのものになります。
「回り道だった」と考える人は、幸せから遠ざかる
逆に、「この経験は無駄だった」「遠回りだった」と考えてしまうと、人生の満足度は下がってしまいます。理想どおりにいかなかったことを「すべて悪い道だった」と決めつけてしまうと、自分の人生そのものを否定することになります。
でも、そのときあなたは、真面目に考えて、なんとかしようとして動いていたのではないでしょうか? そうだとしたら、たとえ望んだ結果が出なかったとしても、それを「無駄だった」とは言えないはずです。
真面目に生きた時間を否定しないで
あなたは、その間、ちゃんと生きてきた。だからこそ、「無駄だった」とか「間違っていた」と言いたくなる気持ちもわかります。でも私は、その時間が無駄になっているわけがないと思うのです。
そうした物事の捉え方ひとつで、人生がプア(貧しく)になってしまうこともあります。そして、これから先の人生でも満足を得られなくなってしまいます。
その発想をしている限り、人生に対する「納得感」は決して得られないのです。
回り道を経たからこそ、深みが出る
精神科医という職業には、実はそうした回り道や試行錯誤の経験を経てたどり着いた人も多くいます。
もちろん、ストレートに進んで精神科医になる人もいますが、うまくいかなかった経験や、葛藤を経てたどり着く人も少なくありません。そういう人のほうが、結果的にいい精神科医になることも多いのです。
経験は、すべて「人間味」になる
人生という視点で見れば、誰もが「人生の達人」なのです。生きてきた分の経験が、すべてプラスになる。これは生かし方や解釈の仕方次第なのです。
あなたが「回り道だった」と思っている経験も、他人から見れば「人間味」や「深み」に映ります。ストレートにうまくやってきたように見える人が、実は薄っぺらく見えることだってある。
そして、その薄さをいつか自分で受け止める日が来たとき、そこにもまた深みが出てくるものです。
人生の価値を感じるとき
そう考えると、誰ひとりとして無駄な時間を過ごしている人はいないのです。
「回り道はない」と本気で思えたとき、初めて人生の価値を実感できるのではないでしょうか。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。