「相続対策」が必要とわかっていても、何をどうやればいいのか? どこから手をつければいいのか? わからない人は多いことと思います。『子どもに絶対、迷惑をかけたくない人のための たった5日で相続対策』(ダイヤモンド社刊)を出版した税理士の板倉京さんが、その手順や気を付けるべきポイントを本書より抜粋・編集して解説します。

【税理士が警告!】会社経営者は要注意! 相続税を押し上げる「見落としがちな財産」TOP2Photo: Adobe Stock

思わぬものが相続財産に!

 会社を経営している場合、思わぬものが相続財産となり、相続税が高額になることがあります。経営している会社の株式(自社株)」と「会社への貸付金」です。

 自社株とは、一般的に経営者が所有している会社の株式のこと。出資すると引き換えに株式を持つことになります。自社株の評価額は、出資した金額と同じではありません。会社の経営状態によって、評価額は変化します。1000万円出資した自社株の評価額が3億円になっていた! なんてことも十分ありえるのです。

 仮に評価額3億円の自社株を相続しても、3億円で誰かが買ってくれるわけではありません。でも、相続税は3億円の財産があるとしてかかってくるのです。

 このことを知らずに相続を迎えれば、残された家族が思わぬ高額な相続税を払うことになります。事前にわかっていれば、贈与や特例の適用などの対策をすることができます。自社株の評価は複雑です。会社を経営している方は、是非、自社株の評価を税理士に依頼して、価値を確認してください。

見落としがちな会社への貸付金

 もう一つ見落としがちなのが「会社への貸付金」です。会社が資金不足の時に、社長が個人財産から運転資金を入れたり、会社の経費を社長個人の財布から払ったりした場合、会社は「社長(からの)借入金」として処理します。これは、社長にとっては、会社から返してもらう権利のある「貸付金」という財産です。

 この「社長借入金」を精算せずに積み上げている会社は意外に多いのです。ひどい場合は数千万円、数億円単位になっていることも……。

 相続になれば、この貸付金は相続税の対象です。会社に返済能力がなければ、家族は「返ってくる見込みのない財産に高額な相続税を払う」ことになります。

 会社に「社長借入金」がいくら残っているか、確認してください。そして、高額な「社長借入金」がある場合は、税理士と相談して早めに精算していきましょう。

*本記事は、板倉京著『子どもに絶対、迷惑をかけたくない人のための たった5日で相続対策』(ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集して作成しています。