次からは、そうした言葉の「三つの度」を高め、自らの思いや考えをより適切、そして魅力的に伝えるためのコツを紹介していきましょう。

その「うれしい」は、どんな状態?

 たとえば、自分の感じる「うれしい」という感情を言葉にするときは、もちろん、「うれしい」で事足りることも少なくありませんが、「うれしい」に近い他の言葉も頭にストックしておけば、状況に応じて、よりぴったりの言葉で感情表現ができるようになります。以下にそのいくつかを取り上げます。

「ときめく」

「ときめく」は、期待や喜びで、胸がどきどきすることです。「期待に胸がときめく」「喜びに胸がときめく」など、「うれしい」の代わりに使うことができます。「時めく」(時流に合って、もてはやされる)とは違う言葉なので注意しましょう。

「喜ばしい」

「喜ばしい」は、うれしい、愉快、満足といった心情を大人っぽく言語化するのにふさわしい形容詞です。「まことに喜ばしいことで」「こんな喜ばしいことはありません」などと使います。「この喜ばしい日に」といえば、結婚式の挨拶の定番フレーズです。

「この上もない」

「この上もない」は、これに優るものはない、最もよいという意味。「この上もないお話と存じます」などと使います。なお、「この上は~」はまったく意味の違う言葉で、「こういう事態になったからには」と、ネガティブな局面で用いる語です。

「心に響く」

「心に響く」は、心に印象深く伝わってくる、感動する、共感する、という意味で、「心に響く歌声」などと使います。「心を打つ」「心に染みる」も同様の意味で、「心を打つ言葉」「心に染みるお話」などと用いられています。「心に刺さる」も、やや俗語的ではありますが、近年、同様の意味で使われることが増えている言葉です。

言葉にできるだけで、理解がすすむ

 複雑な要素をはらむなど、なかなか短くは言葉にできないことを、短くぴしっと表せる言い方を頭に入れておくことも、言語化する力を身につけるカギになります。説明能力が格段に上がるだけでなく、周囲からは知的な印象をもたれるはずです。

 たとえば、以下の言葉は、どんな状況で使うかご存じですか。

(1)射程が長い (2)最適点 (3)実践知