(1)「射程が長い」は、一般には、銃弾が届く距離が長いことですが、比喩的には「遠く先まで見据えている」という意味で使われます。「射程を長くとった小説」「射程長く見据えた経営計画」など。
(2)「最適点」とは、最も適したゴールのことです。「最適点に達する」「最適点を模索する」など。「最適解」も似たような使い方ができ、「最適解とはいえないにしても、間違いではないでしょう」などと使われています。
(3)「実践知」は、もとは哲学用語ですが、一般的には「実践の中で積み上げた知識」「現場で役に立つ知恵」といった意味で使われています。「机上学習は積んでいるが、実践知が不足している」というように使います。
たとえる技術を身につければ、もっと伝わる
「レトリック」(修辞法)は、人をハッとさせるために不可欠の言葉のテクニック。そのなかでも、「比喩」は、最も多用され、印象に残る形容を生み出すには不可欠の修辞法です。比喩表現は、無数にあるようでいて、その“素材”となる言葉は、意外に限られています。
ここでは、使用頻度の高い言葉を通して、どう組み合わせれば、人をハッとさせる比喩をつくれるのか、その基本ノウハウを紹介していきます。
「横綱級の」
スポーツは比喩のわかりやすい材料になります。たとえば、「横綱級」はその分野のトップであることを意味し、「横綱級の国宝」などと使われます。「四番打者」「エース」「チャンピオン」は、その分野の一番の実力者。「論壇のハードパンチャー」といった比喩もあります。
「猫のような」
「動物」も比喩によく使われる材料で、擬人法の反対に「擬動物法」というジャンルがあるといってもいいくらいです。「猫」は、その性格から自由、気まま、孤独、狡猾などの代名詞として、「猫のような個人主義者」などと使われます。また、その動作から「猫のように足音をしのばせる」「猫のように顔を撫でる」といった言い方もあります。
「機械のように正確」
モノは、その用途、サイズ、見た目などに応じて、最も多様な比喩に使われているジャンルです。たとえば、「機械」は、「正確な動き」と「ぎこちない動き」双方の比喩に使われています。「精密機械のような動き」といえば正確という意味です。
――これを機会に、「論理性を高める熟語」「感情を上品に表す大和言葉」「人におやっと思わせる言い回し」など使える言葉を増やして、自分が言いたいことを自在に言語化できる力を身につけてください。