外国人の場合、外来の未収金が入院のそれよりも多いのが特徴だ。過去の議会での発言だが、特に救急外来では、未収金の80%が外国人によるものとの指摘もあったという。
川口市の人口に占める外国人の割合は7.6%(2024年9月1日現在)なので、外国人が医療費を払わなかった割合は著しく高い。
医師法には原則として医師は診療治療を拒んではならないとする「応召義務」が定められている。特に救急医療の場合はそうである。しかし、自治体病院の経営環境は厳しく、多くの未収金は自治体病院の経営を圧迫する原因となっている。
「正直、支援したくない」
クルド人妊婦の急増に揺れる助産現場
生活保護を受けていたり、無保険など困窮している世帯を対象に、自治体が出産費用を補助する「入院助産制度」の利用件数は、担当する川口市子ども部によると、2022年度は25件で、そのうち日本人13件、外国人12件だった。
2018年度は全部で18件だったが、その後、外国人による申請が増えてきた。国籍別の件数については公表できないが、2023年2月のトルコでの地震以降、相談に来るトルコ国籍者が増えているのは事実、という。
出産費用は通常分娩であれば30万~50万円、帝王切開であれば80万~100万円の費用が掛かる。入院助産制度は、出産間際になって誰からも支援を受けられない、緊急を要する人の出産を支援するのが目的だ。
病院に妊婦健診に来て、出産費用について払えないと相談するケースが多い。病院から直接、子ども部に打診があったり、病院に促されて相談に来たりする。
ただ、支援は本当に支払い能力がないのかどうか調査をしたうえで行われる。外国人の場合は、負担できるコミュニティーや支援者がいたり、収入がないと言いながら稼いでいたり、川口市に居住実態がない仮放免者もいるので、そうした点を確認する。
2024年4月、川口市のクルド人を支援している団体の女性の案内で、クルド人新生児の予防接種に立ち会った。市内の診療所に、生後2カ月の新生児を乗せた乳母車を押して現れたのは、20歳のクルド人の母親だった。