トランプの思考は「親ロシア」の
太い軸をもって一貫している
米国からウクライナへの軍事援助を、トランプが止めようとしたこともあった。2019年7月、トランプは約4億ドルの対ウクライナ軍事援助の執行差し止めを国務・国防両省に指示した。

春名幹男 著
その1週間後、トランプはウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に電話し、翌年の大統領選挙に出馬するライバルのバイデン前副大統領の次男の不正事件などを捜査すれば、軍事援助を執行するという趣旨の発言をした。
この事実を内部通報したのはCIA要員だった。だがトランプの側近の1人スティーブン・ミラー補佐官は「ディープステート工作員」の仕業と非難。トランプ自身は「彼らは自分を狙う反逆者」と罵った。
議会で決めた援助を大統領が差し止めるのは違法であり、野党民主党が厳しくこの問題を追及したため、同年9月11日にトランプは「執行」を関係省庁に連絡した。この問題はトランプ大統領弾劾の動きにまで発展した。
ウクライナへの軍事援助は、共和党の一部がバイデン政権の援助継続に反対し、大きい問題になったが、トランプ第1期政権では曲がりなりにも継続してきたのだ。