オリーブオイルは
うつ病や不安症に効果あり

 不飽和脂肪にはおもに、一価不飽和脂肪(一価不飽和脂肪酸、またはMUFAで構成される)と多価不飽和脂肪(多価不飽和脂肪酸、またはPUFAで構成される)の2種類があります。

 この2つの違いは化学構造にあり、「一価」と「多価」は、脂肪酸鎖のなかにある炭素の二重結合の数を表します。

 この二重結合がある不飽和脂肪と、一切ない飽和脂肪を簡単に識別する方法としては、不飽和脂肪は室温でほぼ必ず液体であるのに対し、飽和脂肪は室温で個体です(ただしマーガリンや植物性のショートニングなどの特定の不飽和脂肪は、室温で固まるように加工されています)。

 不飽和脂肪は一般的に、飽和脂肪よりも健康的だと考えられていますが、すべての不飽和脂肪が例外なく健康的で、不安を増幅させる危険がないと決めつける前に、細かい部分を確認していきましょう。

 オリーブオイル、アボカド、ほとんどのナッツ類、一部の食用油の脂質は、大部分が一価不飽和脂肪酸でできています。一価不飽和脂肪酸、なかでもオリーブオイルとアボカドオイルは、たいていいつも健康にいいと思われています。

 オリーブオイルは地中海の食文化でいちばんの脂質の供給源であり、その地域の心臓病発症率の低さに感銘を受けた世界中の栄養士が、地中海式の食生活を考案し、推奨しています。また、地中海式の食生活には、うつ病や不安症にも効果があることがわかっています。アボカドオイルはオリーブオイルと同じよさをいくつももちつつ、ソテーや炒めものなどの高温調理により適しています。

 一価不飽和脂肪酸を使った食事が腸の健康を促進し、炎症を抑え、代謝リスク要因を減らし、不安を軽減するという研究結果は数多くあります。とはいえ、一価不飽和脂肪酸ならどれでもいくらでも摂取していいというわけではありません。

「オメガ3脂肪酸」で
メンタルが健康になる

 たとえば、キャノーラ油やピーナッツオイルなどの食用油には一価不飽和脂肪酸が含まれていますが、これらは揚げものに使われることが多く、大量のカロリーの精製炭水化物をとってしまいかねません。わたしは患者にこれらの食用油を制限するように伝えつつも、オリーブオイル、アボカドやアボカドオイル、ナッツ類、シード類からヘルシーな脂質をとるようにもすすめています。