それに、フィッシュオイルの大きなカプセルを好んで飲み込む人はいませんが、おいしく調理されたサーモンを食べるのが好きな人はたくさんいます。

 何かの理由で魚を食べられない人を除いて、わたしの患者には、EPAとDHAの最高の供給源として、時間をかけてでもサーモンの調理法を学ぶよう、心からすすめています。魚よりも植物性食品のほうがいいという人には、アマニやチアシード、クルミなどからALAをとるようすすめます。

 また、EPAとDHAは、完全に植物性の藻油サプリメントからも摂取できます。

 多価不飽和脂肪酸の摂取量を考えるうえで重要なのは、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸を適切な比率でとることです。わたしたちが普段、植物油を大量に摂取し、魚油をあまり摂取していないことを考えれば、この比率を変えるのは案外とても簡単です。

 平均的なアメリカ人は、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸を15対1の比率で摂取しているという推定もあります。この比率を理想に近づけられれば――理想を言えば、5対1により近づけられれば、おもに炎症の軽減による健康状態の改善が、いくつも見られるだろうといわれています。

 そしてこの比率を改善できれば、不安症が直接軽減されることもわかっています。

 もちろん、食事に含まれるオメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の量を正確に測定するのは現実的ではありませんし、そもそも不可能です。ですから、わたしの患者にはただ、オメガ6脂肪酸を減らしてオメガ3脂肪酸を増やすようにと伝えています。

それほど有害ではない!?
「飽和脂肪」の役割とは

 脂っこい食べものといえば、ジュージュー焼けるベーコンのにおいや、溶けたバターの味を思い浮かべるかもしれません。これらは飽和脂肪の一種で、たいていは動物由来です。不飽和脂肪と異なり、飽和脂肪は通常、室温で固体です。ベーコンの脂やバターは、冷めると固体に戻ります。ココナッツオイルやパーム核油などの植物由来の飽和脂肪も、室温では個体もしくは半固体です。