脂質カットと糖質カット、健康にいいのはどっち?医師が出した「最終結論」写真はイメージです Photo:PIXTA

世の中で周期的に話題になる、特定の主要栄養素を排除するようなダイエット方法。しかしそれらは、メンタルを健康に保つ上で間違った考え方なのだという。精神科医であり、かつ栄養士、調理師である著者が「不安を消す」食事の摂り方を教える。本稿は、※ウーマ・ナイド『最新科学が証明!人気精神科医が教える メンタルを強くする最強の食事術』(SBクリエイティブ)の一部を抜粋・編集したものです。

ひどい不安症状に
陥った患者の食生活

 40歳のアハヌは、フォーチュン500(『フォーチュン』誌が毎年発表するアメリカの上位500社)に入る大企業に勤めており、最近、営業のシニアリーダーに昇進しました。新しい役割はやりがいがありましたが、頻繁に世界中を飛行機で飛び回り、毎日長時間労働を強いられる過酷なスケジュールで、ストレスも多くなりました。

 彼はプレッシャーと重労働は覚悟していたものの、ひどい不安症状に苦しむとは思っていませんでした。出張のたびに、それまで経験したことのなかったパニック発作に襲われそうになるのです。休憩室で同僚とおしゃべりしたり、上司に挨拶したり、仕事に行くときの服を決めたりといった、仕事にかかわる日常的なやりとりでさえ、自分の発言や行動についてそのあと何時間も悩むようになり、睡眠不足に陥り、結果、つねに神経質でイライラするようになってしまいました。

 わたしのもとへ相談にきた彼は、新しい業務のストレスとプレッシャーに適応できないと話し、わたしはインポスター症候群(自分を過小評価し、自己不信に陥る症状)になりかけている可能性を指摘しました。