ステーキ写真はイメージです Photo:PIXTA

日本人の食生活は、圧倒的に糖質が多い。一般的な日本人の1日の3大栄養素摂取量は、タンパク質約70グラム、脂質約60グラムなのに対し、炭水化物(糖質)は4倍近い約250グラム。結果として疲れやすく太りやすい体になってしまっていた。糖尿病専門医が、世の中に浸透する“カロリー理論”の矛盾にメスを入れる。本稿は、牧田善二『疲れない体をつくる最高の食事術』(小学館)の一部を抜粋・編集したものです。

疲れやすく太りやすい体を
つくる食生活の特徴とは

 糖質をたくさん摂ると血糖値が乱高下し、眠気やだるさ、集中力の低下などに代表される慢性疲労を招きます。みなさんの疲れをつくりだしているのは、糖質の多い食生活です。

 では、それがなぜ、肥満に繋がるのでしょうか。

 いまだに多くの人が、太るのは「カロリーの高いものを食べ過ぎているからだ」と思っています。

「痩せたければ、出る(使う)カロリーよりも、入れる(食べる)カロリーを少なくすればいいだけだ」と、したり顔で言う人もいます。医師ですら、そう信じている人がたくさんいます。

 一見、論理的なようですが、人間の体はそれほど単純なものではありません。そこには、消化・吸収などの「生化学」の視点が抜け落ちています

「カロリー理論」でいくと、カロリーが高い脂身たっぷりのステーキをたくさん食べていれば、どんどん太ってしまいます。しかし、そんなことはありません。

 実際には、脂身たっぷりのステーキを3枚食べた人より、米飯を3杯食べた人が太ります。太る原因は、糖質であって、タンパク質や脂質ではないからです。

 そのメカニズムを説明しましょう。

 米飯などに含まれる糖質も砂糖と同様、消化の過程ですべてブドウ糖に分解されます。

 そのブドウ糖は、小腸から血液中に吸収されて血糖値を上げます。そのとき、膵臓からインスリンが分泌されて、血糖値が上がりすぎないよう対処します。

 そして、この「対処」が肥満に繋がるのです。

日本人の食生活には
圧倒的に糖質が多い

 血液中に余ったブドウ糖は、最初はインスリンによってグリコーゲンという物質に変えられ、筋肉や肝臓に蓄えられます。

 ただ、グリコーゲンとして貯蔵できる量はさほど多くなく、残ったブドウ糖は、今度は中性脂肪に変えられ、脂肪細胞に取り込まれます。

 どうして、余ったブドウ糖が中性脂肪に変えられるかといったら、そのほうが備蓄するのに効率的だからです。