
人によってタスクの優先順位基準は異なる。相手にとって優先度の低いタスクを先に実施させることは、その人の意欲を低下させ、ストレスを与えてしまう。チームの足並みをそろえるために、リーダーはどう働きかければよいのだろうか。(モチベーションファクター代表取締役 山口 博)
チームの仕事が遅々として進まない……
その理由とは?
「メンバーはそれぞれの業務に一生懸命取り組んでいるにもかかわらず、チームの成果が出ない」「一人一人は優れた能力を持っているのに、メンバー間で言い争いが起こったりして業務の進捗が揃わない」……このように感じることのあるリーダーは、メンバー間の優先順位基準が一致しているかどうか、まずは見極めた方がよい。
リーダーが、メンバーの業務効率を上げるために「優先順位基準を付けよう」「優先順位を付けて実施してくださいね」とだけ掛け声をかけることはよくある。しかし、多くの場合、メンバーの裁量を尊重しようと、具体的な優先順位を示さないのだ。
こうしたとき、メンバー同士で、ある人は作業工数の多いタスクからはじめ、ある人は少ないタスクから始めるといったことが起こりがちだ。メンバーそれぞれが好む優先順位基準は、リーダーが思った以上に大きく異なる(詳しくは『「あいつ、わかってないな…」部下にイライラしなくなる!仕事を頼む時の「ひと工夫」とは』参照)。
その結果、前工程の完了が後工程の開始までに間に合わなくなり、お互いのタスクの期限やプロセス全体の再調整のためにさらなる労力がかかる。ひいてはメンバー同士の関係性が悪化し、チーム全体の成果を損なってしまう。
リーダーとして、個々のメンバーの優先順位基準を合致させることが、チームの生産性を高めることに役立つ。しかし、ここで一つ問題が生じる。
自分が好む優先順位基準と、リーダーの提案する優先順位基準が合致していればよいのだが、自分の好む基準とは真逆の基準で取り組まなければならないメンバーには、大きな負担がかかるということだ。業務への意欲がそがれ、生産性を低下させてしまいかねない。
メンバーにストレスなく優先順位基準を変えてもらうために、リーダーはどうすればよいのだろうか。