かく言う私自身も血圧の薬を飲んで、130/80mmHgの血圧を維持しています。

 なお、血圧の薬を飲み始めたら、自分の判断で勝手に服用をやめないようにしてください。

「どうせ今から禁煙しても遅い」
その考え方、間違っています

「百害あって一利なし」と言われる喫煙は、認知症予防の上でも害だと言わざるを得ません。

 カナダのマギル大学の研究チームが高齢者500人を対象に調査したところ、「タバコを吸ったことがない人」「以前は吸っていたが禁煙した人」「喫煙を続けている人」の順に、大脳皮質が薄くなっている傾向があることがわかりました。大脳皮質の減少は、認知能力の低下につながるので、この結果は喫煙が認知症のリスクを上げることを示唆するものだと言えるでしょう。

 先述の久山町での疫学調査でも、アルツハイマー型認知症の発症リスクは、「生涯にわたって非喫煙」の人を基準にすると、「中年期に喫煙、老年期に非喫煙」の人は1.6倍、「中年期も老年期も喫煙」の人は2.0倍高く、血管性認知症の発症リスクについては、「中年期に喫煙、老年期に非喫煙」の人は1.9倍、「中年期も老年期も喫煙」の人は2.9倍も高いことがわかっています(図8参照)。

 この結果は、かつて喫煙していた人でも、禁煙することで認知症のリスクを下げられることを示しています。なかなかタバコがやめられないという人も、吸う本数を徐々に減らして、できるだけ早いタイミングでの禁煙をぜひ目指してください。

図表2:喫煙レベルの推移と病型別認知症発症の関係同書より転載
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歯磨きは食後だけでは足りない
歯周病もアルツハイマーの原因に

 最後にお話ししておきたいのが、口腔(こうくう)ケアについてです。

 重度の歯周病があると、高血圧や糖尿病などの生活習慣病のリスクが有意に高まることが近年よく知られるようになってきました。