
認知症の原因はさまざまだ。2017年の国際アルツハイマー病学会(AAIC)において、予防可能な認知症の危険因子として「高血圧」「糖尿病」「肥満」など9つの項目が挙げられ、中でも最大の危険因子は「難聴」と報告された。一方で、認知症予防でおすすめなのがボランティア活動だという。その理由を専門家が解説する。※本稿は、杉本八郎『82歳の認知症研究の第一人者が毎日していること』(扶桑社)の一部を抜粋・編集したものです。
「認知症の予防にいいから」
だけでは気が乗らなくて当然
実は私にはもう1つ趣味があり(編集部注/著者は俳人としても有名。毎日必ず10句作っているという)、それが60年前から続けている剣道です。
今も週に1回は道場に行って1時間ほど稽古に励んでいます。
また、「剣道のためのトレーニング」として、腕立て伏せを50回、腹筋を50回、素振りを200回するのが毎日のルーティンになっています。
この数字を聞くと驚かれる方も多いのですが、すでに習慣になっているので、別に大変だと思ったことはありません。
でも、もしも「健康のため」とか、「認知症予防のためにこれをやれ」と言われたら、継続できるかどうか正直自信はありません。あくまでも私は、剣道の腕を上げたいから、トレーニングも頑張っているのです。
年を重ねると、何をやるにも健康のためとか、認知症予防のため、という発想になりがちですが、それだけが目的だと継続するのは難しいと思います。勉強にしろ、運動にしろ、認知症予防以外の目的がもてるかどうか、それ自体を楽しいと思えるかどうかが、継続できるかどうかの分かれ目なのです。