ご存じのように一汁三菜とは、主菜1品と副菜2品に汁物とご飯を組み合わせた食事スタイルのこと。主菜からは動物性・植物性のタンパク質を、緑黄色野菜や淡色野菜、海藻や豆、芋などが多く使われる副菜や汁物からは、ビタミンやミネラル、食物繊維などをしっかりと摂取することができます。

 九州大学が中心となって行っている久山町(編集部注/福岡県糟屋郡にある町)での疫学調査でも、60~79歳の男女1006人を対象に食事パターンと認知症の関連性が調べられていますが、「緑黄色野菜や淡色野菜、大豆・大豆製品、藻類、牛乳・乳製品、魚、果物、イモ類」をよく摂取するほど認知症になりにくいという結果が出ています。これらの食材を上手に取るのにも一汁三菜はぴったりでしょう。

「和食は健康的」は幻想だった?
白米と味噌汁にひそむ危険性

 ただし、和食で注意したいのは塩分です。塩分の取りすぎで高血圧になると脳血管障害のリスクが上がり、血管性の認知症になる心配もあるので、「減塩」は心がけたい生活習慣の1つです。

 イギリスでは、2005年から“What's good for your heart is good for yourhead”(心臓病の治療が認知症予防となる)というスローガンを掲げ、生活習慣病の予防に関するさまざまな取り組みをしてきましたが、その取り組みの重要なテーマの1つが「減塩」でした。2008~2011年の75歳以上の認知症の有病率が1989~1884年に比べ、2~3割も減少したのはその成果ではないかと考えられています。

 厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準」では、1日の塩分摂取量を男性は7.5g未満、女性は6.5g未満と定めていますので、それを超えないように気をつけてください。味噌や醤油、漬物などは塩分が高めなので、塩分が控えめのものを選ぶなどするほうが安心です。

 もう1つ注意したいのは、主食であるご飯の食べすぎです。砂糖のように甘くなくてもご飯は糖質なので、食べすぎれば肥満のもとになりますし、糖尿病のリスクも上がります。ご飯や甘いお菓子などの糖質の取りすぎにはくれぐれも注意してください。