親の言葉や態度が
子どものやる気を削ぐ

 さらに、子どもを勉強嫌いにさせてしまう大きな原因として挙げられるのが自信の喪失です。「自分なんかダメなんだ」という思いを抱いてしまうと、子どもはどんどん自己肯定感を失い、学ぶ意欲も薄れてしまいます。きっと多くの親御さんは「自分の子どもを他の子どもと比較してはいけませんよ」というアドバイスを、どこかで耳にしたことがあるのではないでしょうか。

 例えば「よその子はあんなに勉強しているのに、どうしてあなたはちゃんと勉強しないの?」とか、「あの子はあんなに良い成績を取っているのに、あなたはどうしてこんなに成績が悪いの?」というような言葉です。

 このような言葉をかけることは、子どもを傷つける可能性が高いです。また、きょうだい間での比較も同様に危険です。「お兄ちゃんはしっかりしているのに、どうしてあなたはだらしないの?」とか「妹はきちんと勉強しているのに、どうしてあなたはサボってばかりいるの?」といった言葉は、子どもの心に深い傷を与え、自信を失わせてしまいます。

 多くの親御さんはおそらく、こうした比較が子どもに悪影響を与えることを知っているはずです。ですから、多くの親御さんは「他の子と比べず、その子自身をしっかり見て育てよう」と心がけているはずです。

 しかし、中学受験の世界に足を踏み入れると、他者との比較に否応なくさらされることになります。中学受験には「合格の席の奪い合い」という厳しい性質があり、自分の立ち位置を知るために、他の子とどれだけ差があるのかを把握せざるを得ない場面が出てくるのです。

 その指標としてよく使われるのが偏差値です。偏差値は、他の子との比較の中で、自分の学力の位置づけを数値化したものです。また、大手の塾に通うと、成績によってクラスが分けられ、定期的なテストの結果によってクラスが上下する仕組みが一般的です。