「身体感覚」を磨くと
観察力が高まる
しかし、本当の意味でのクリエイティブとは、まさに先のマックの話が良い例だが、同じ土俵にいる人、いってみればライバルが考えもしない切り口で考えてみたり、アプローチをしたりすることで、解像度を高めていくことだ。
そしてそのような切り口の変化、視座の移り変わりのために必要なスキルが、まさに観察力である。
1つの考え方や視点に縛られ、そこだけを軸にあれこれと考えるのではなく、まったく異なる視点で考えてみる。このような姿勢や考え方こそが、ビジネスパーソンにとって求められている、最強のビジネススキルだと僕は考えている。
このように、観察力を高めるために視座、視点を増やすことは重要だが、ある程度の状態になると、また再び、特定の視座に偏ったジャッジをしてしまう。いわゆる頭でっかち、確証バイアス的な判断である。
そのため、視点は常に更新し続ける必要があるし、改めてゼロベースで目の前の事象をとらえてみる。そのような機会を設けることも大事だ。これまでの考えや環境を手放してみるのだ。
僕が東京から福岡に移り住んだのも、実はこのような思いがあったからでもある。
大きく環境を変えるだけでなく、身近なことにも意識が向かい出していて、観察力を高めるためにここ数年、実践していることがある。それは、「身体感覚」を磨くことだ。自分の身体感覚を変えると、同じ環境も変わる。
僕たちは普段、特に昼間、仕事をしている状況では脳という身体のセンサーを活用している場合が多い。たとえば、若い頃の僕はたくさんの本を読み、その内容を頭で考え、仮説を立て、言葉としてアウトプットしてきた。
でも年齢を重ねるにつれ、言葉には限界があると感じるようになった。そこで、肌感覚など身体感覚を研ぎ澄ますことで、観察力を高めていこうと考えるようになった。