三味線の稽古をする女性写真はイメージです Photo:PIXTA

仕事で成果を上げたければ、まずは「真似ろ」――。そう聞くと簡単に思えるが、きちんと真似て「型」を身につけることは、実は自己流よりも難しい。『ドラゴン桜』など数多くのヒット作を担当した敏腕編集者が、成功するためのとっておきの秘訣を教える。※本稿は佐渡島庸平『観察力を高める 一流のクリエイターは世界をどう見ているのか』の一部を抜粋・編集したものです。

一流を「真似る」のは
意外と難しい

 優れた仕事に必要なことは、ホームランではない。当たり前を積み重ねることだ。だから、突飛なアイディアを思いつくよりも、基本を身につけることが、一番重要だ。

 どんなフェーズにいる人も、まずは「真似る」。

「真似る」ことの大切さを、新人マンガ家にも、会社のメンバーにも、息子にも僕は伝えている。そして、僕自身も変化が欲しいときは、「真似る」ことに立ち戻るようにしている。

「真似る」というと安易な方法だと思うかもしれないが、まったく逆だ。自己流で、やりたいようにやるほうが、よほど安易な方法だ。簡単にできた気持ちになる。自分のアウトプットと一流のアウトプットに雲泥の差があるのに、その差をじっくりと観察せずに済み、自分の心を守ることができるのが、自己流のやり方だ。

 実際にやってみるとわかることだが、一流の人をいざ真似ようとしても簡単に真似することができない。

 たとえば、日本舞踊の人は、すり足で歩く。

 太極拳の動きはとてもゆったりとしたものだ。観ている時は、簡単に真似できるように思う。でも、やってみると、まったくできない。身体が鍛えられていて、体幹がしっかりしていないとあんな動きはできないのだ。真似ることすらできない。