米国への空爆やミサイル攻撃の脅威に対する国全体の防御を強化するというドナルド・トランプ大統領のアイデアについては、好ましいことがたくさんある。現在、米国のミサイル防衛システムはアラスカ州とカリフォルニア州を拠点としており、最適化されている対象は北朝鮮の脅威だけだ。このシステムは、多数の潜在的な敵対勢力が開発を進めている機動性の高い極超音速ミサイルに対しては機能しない公算が大きい。米国には、巡航ミサイルやドローン(無人機)といった空からの脅威に対する専用の領土防衛手段もない。トランプ氏は3月に米議会の上下両院合同会議で行った演説で、1983年にロナルド・レーガン大統領が打ち出した戦略防衛構想(SDI)を引き合いに出し、米国には現在、レーガン氏が夢に見ることしかできなかったものを実現できる技術があると主張した。それは核ミサイル攻撃から米国を守るための宇宙空間および地球上のシステム「ゴールデンドーム」の開発だという。トランプ氏は今週、大統領執務室でこの主張を重ねて展開し、それを裏付ける証拠があると述べた。中距離「衝突破壊型」迎撃ミサイルは、過去10年間に試験場で多くの成功を収めており、ウクライナとイスラエルはロシアとイランからの大規模なミサイル攻撃を無効化する技術力を証明している。