「この本のおかげで出世できた」「チームのパフォーマンスが上がった」
そんな感想が届いているのが、安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』『パーフェクトな意思決定』シリーズ四部作だ。これまで4400社以上の導入実績があるマネジメント法「識学」をもとに、ビジネスの現場で「一生活躍し続けられる」メソッドや思考法を授ける本シリーズは、さまざまな業界から圧倒的な支持を集めている。今回は、全ビジネスパーソンに必須の「リーダーシップ」のあり方を指南する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「怒れない上司」が増えている
パワハラに対する社会の目は年々厳しくなっています。
それ自体は望ましいことですが、その結果、「何も言えなくなった」「叱ることができない」という上司も増えています。
でも実は、パワハラを恐れるあまり、かえってチームを壊しているケースも少なくありません。
ここでは、パワハラを恐れるあまり、上司が無意識に勘違いしてしまっていることを、ワースト3形式で紹介します。
ワースト3:「厳しく言う=パワハラ」
多くの人が、「ちょっと厳しいことを言っただけでパワハラと思われるのでは」と不安を抱えています。
でも、厳しい指摘とパワハラは、まったくの別物です。
指摘の目的が「業務上の改善」であれば、むしろそれは上司として必要な行動です。
重要なのは、人格を否定していないか、感情的になっていないかという視点です。
言い方ではなく、伝える「理由」と「方法」が問われているのです。
ワースト2:「仲良くしないとダメ」
「部下とフランクな関係を築かないと、怖いと思われてしまう」という思い込みも要注意です。
必要なのは「仲の良さ」ではなく、信頼されるルールのある関係です。
たとえば、評価の基準が明確で、発言にブレがなく、一貫性がある。
そういう上司には、自然と信頼が生まれます。
むやみに距離を縮めようとする必要はありません。
ワースト1:「叱らないほうが安全」
最も危険な誤解は、「叱らないことが最善」だという考えです。
注意や指導を避けていると、部下は「自分の仕事ぶりを見られていない」と感じ、責任感が薄れます。
さらに、チーム内に不公平感や不満が広がり、空気がどんどん悪化していきます。
パワハラを避けようとしているつもりが、かえってチームの士気を下げているのです。
大事なのは、「冷静さ」と「ルール」
叱るときに必要なのは、感情ではなく、冷静な基準です。
「この行動は、チームのルールに反している」
「このままでは結果が出ない」
そうした“事実に基づく注意”をすれば、パワハラにはなりません。
むしろ、それを恐れて沈黙することこそが、リーダーとしての責任放棄です。
(本稿は、『リーダーの仮面』の著者・安藤広大氏が書き下ろしたものです)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、2013年に独立。多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年足らずで上場を果たし、これまで9年間で約4400社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ累計150万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)がある。『パーフェクトな意思決定』はシリーズ最新刊。