「そんなのいらない！」相続で押しつけ合いになる“困ったもの”の正体
相続は誰にでも起こりうること。でも、いざ身内が亡くなると、なにから手をつけていいかわからず、慌ててしまいます。さらに、相続をきっかけに、仲が良かったはずの肉親と争いに発展してしまうことも……。そんなことにならにならないように、『相続のめんどくさいが全部なくなる本』（ダイヤモンド社）の著者で相続の相談実績4000件超の税理士が、身近な人が亡くなった後に訪れる相続のあらゆるゴチャゴチャの解決法を、手取り足取りわかりやすく解説します。
本書は、著者（相続専門税理士）、ライター（相続税担当の元国税専門官）、編集者（相続のド素人）の3者による対話形式なので、スラスラ読めて、どんどん分かる！【親は】子に迷惑をかけたくなければ読んでみてください。【子どもは】親が元気なうちに読んでみてください。本書で紹介する5つのポイントを押さえておけば、相続は10割解決します。
※本稿は、『相続のめんどくさいが全部なくなる本』（ダイヤモンド社）より一部を抜粋・編集したものです。
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“誰も引きたくない”財産の話し合い方とは？
『相続専門税理士が教える 相続のめんどくさいが全部なくなる本』（ダイヤモンド社）より イラスト：カツヤマケイコ
相続したくないものがある？
前田 遺産分割協議で一番困るのが、「誰も相続したくない不動産」が相続財産に含まれているケースです。
無知 そんな不動産があるんですか？
前田 とくに地方に多いのですが、先祖代々引き継いできた不動産があって、貸そうにも貸せず、売ろうにも売れないケースがあるのです。そんな不動産でも、相続すれば固定資産税や維持費はかかります。
無知 相続すると負担が増えるなら、僕もいらないです。
前田 そうなりますよね。そのような不動産は、相続人同士で押しつけ合いになってしまうのです。
お墓の管理もトラブルの火種に
前田 これと似た話で「お墓の管理」もモメやすいテーマです。お墓は財産ではないので、遺産分割協議をする必要はないのですが、誰が管理するかは決めておく必要があります。お墓の管理は負担になるので、やはり押しつけ合いになりやすいです。
国税 私はまだ経験がないのですが、お墓の管理ってそんなに大変なのですか？
前田 地域や宗派によっても異なりますが、お坊さんを呼んで、お墓の管理をするのに、多ければ年間何十万円もの出費になることもあります。しかも一度きりではなく、何年、何十年と続きます。
国税 そんなに！ しかも、お墓の掃除とか、お寺とのやりとりとか、手間もかかるわけですよね。
前田 だから、そういうことを考えずに誰かに押しつけてしまうと、あとで不満が出がちなのです。
「負担のある相続」をどう乗り切る？
国税 いらない相続財産やお墓の管理の問題は、どうすればうまく話し合いがまとまるのでしょうか？
前田 大事なのは、話し合いの結論を出す前に、負担が生じることを相続人同士でしっかり認識すること。そうすれば、あとから「こんなに大変とは聞いてなかった！」という不満を避けられます。
無知 事前に情報を共有しておかないと、あとでダマされた気持ちになりそうですね。
負担を引き受ける人への「報い」も忘れずに
前田 ですよね。きちんと説明をすることに加えて、負担を引き受ける人に対して、いくらか多めに財産を分けることも大切です。
「売れない土地を相続してもらう代わりに、収益のある賃貸不動産も渡す」「お墓の管理をしてくれるなら、預金を200万円多めに分ける」といったように配慮するわけです。
国税 遺産分割協議は、その時点の財産の金額で決めるものと思っていましたが、その後の影響も考えておく必要があるのですね。
不動産よりも預金がほしい…維持・管理が大変な不動産の話し合い
※本稿は、『相続のめんどくさいが全部なくなる本』（ダイヤモンド社）より一部を抜粋・編集したものです。
