習近平Photo:Anadolu/gettyimages

トランプ第2次政権発足から4カ月
米中貿易の激減で高まる経済的懸念

 トランプ第2次政権が2025年1月20日に発足してから、早4カ月以上が経過した。この期間、トランプ大統領が「Make America Great Again(MAGA)」、すなわち「米国を再び偉大にする」という観点から最も重視してきたのが関税政策であることは論を待たないだろう。

「トランプ関税」が本格的に発動され始めた4月に書いた回「意味が分かるとゾッとする…習近平がトランプ関税に真っ向対立する『3つのワケ』」(2025年4月15日)で扱ったように、トランプ大統領は4月9日、米国の貿易赤字が大きい国を対象に「相互関税」を発動した。

 金融市場を含めたマーケットからの反発は大きく、米国に対して報復措置を取らず、問題解決に前向きな国を対象に、90日間の発動停止が即座に発表された。24%の相互関税が課せられた日本もその対象となった。筆者が本稿を執筆している現在も、赤沢亮正経済再生担当大臣を中心に、米国側との厳しい協議が行われている。

 中国に対しては、トランプ政権発足以降、2月4日に10%、3月4日に10%、4月9日に相互関税で34%が追加関税として課せられた。この時点で54%。中国は即座に報復措置を取ったため、米国は34%を引き下げず、むしろ、その後も貿易摩擦が激化、中国の対米輸入品には125%、米国の対中輸入品には145%(一部200%以上)の追加関税が課された。

 3桁の追加関税率となれば、両国間の貿易行為は実質的に「凍結」されると言っても過言ではない。

 中国税関総署が発表した最新の統計によると、4月、中国の対米輸出は前年同月比21.0%減(330億ドル)、輸入は13.8%減(126億ドル)。3月に中国から米国への駆け込み輸出が増え、9.1%増であったから、直近の落ち込み方は顕著である。また、中国から米国への輸出額の大きな品目を見てみると、電気機器が前年同月比32%減、家具や寝具が27%減、玩具が25%減、プラスチックや関連製品が27%減であった。

 貿易の激減が米中それぞれの経済に与える実質的、潜在的影響は軽視できず、両国はそれぞれの思惑、状況から、「何とかしなければならない」というインセンティブを見出し、後述する関税協議、及び合意につながっていったというのが一つの経緯だと筆者は理解している。