適合の4段階は事業の本質を
問い直す強力なフレーム

 新規事業が思ったように伸びない、ユーザーが定着しない、営業現場が苦戦している……そうしたとき、私たちはつい「プロモーションが弱いのでは」「プロダクト機能が足りないのでは」と、表層的な原因を探しがちです。

 しかし少し立ち止まって、こう考えてみてください。 「これは、適合のどこかの段階がズレているサインではないか」と。

 アイデアが悪いのではない。技術が足りないのでもない。顧客や市場との接続のどこかがうまくいっていないのでは……。そう捉え直すだけで、打ち手の方向性がまったく変わってくるはずです。

 適合の4段階は、シンプルでありながら、事業の本質を問い直す強力なフレームです。

 いま自社で取り組んでいる事業やプロダクトのズレを、以下のような段階ごとに、それぞれの視点からチェックしてみてください。

・顧客の本当の課題に迫れているか(CPF)

・その課題に合った解決策になっているか(PSF)

・それを無理なくプロダクトとして実現できているか(SPF)

・そして市場で継続的に受け入れられる状態にあるか(PMF)

 さて、「売れない理由」を探る旅は、適合の4段階を通じて、アイデアから市場までのズレを見直す視点を与えてくれます。しかし、それだけでは終わりません。問題を特定できたら、次は「どうやって前に進んでいるかを測るか」が問われます。

 成果をどう定義するのか。その手応えをどう判断するのか。次回は、プロダクトにおけるKPIや評価指標の考え方を掘り下げていきます。

(クライス&カンパニー顧問/Tably代表 及川卓也、構成/ムコハタワカコ)