・組織の分業構造による断絶
マーケティング、開発、営業、カスタマーサポートが縦割りで分断されているために、プロダクトの適合に必要な情報が1つの線でつながりにくい。顧客のリアルな課題が開発に届かない、解決策の妥当性が営業から検証されないといった、伝言ゲームのような状態では、適合を段階的に確認していくのは難しくなる。
こうした背景があるからこそ日本企業にとっては、適合の4段階というシンプルな視点をチームで共有することが、非常に重要な一歩となります。
適合の4段階の「連鎖」を
意識する視点の重要性
適合の4段階は、ただのチェックリストではなく、それぞれが有機的につながった「連鎖」のような構造をしています。
例えば、顧客の課題(CPF)を誤認していれば、その後に設計する解決策(PSF)も当然的外れになります。解決策がズレていれば、プロダクトとして落とし込んだ(SPF)とき、使いにくく、魅力のないものになるでしょう。そうして生まれたプロダクトが、最終的に市場で受け入れられる(PMF)ことは極めて難しくなります。
このように、1つのフィットがずれると、そのズレは連鎖的に次の段階にも影響を及ぼします。逆に言えば、違和感や兆候を感じた段階で前の段階に戻って確認し直すことができれば、大きな損失を未然に防ぐこともできます。
だからこそ重要なのが、各段階での仮説・検証と、ユーザーインサイトの深掘りです。単に表面的な声や数字を見るだけでなく、「なぜそのような行動が起きているのか」「何に違和感を覚えているのか」といった文脈を丁寧に読み解く力が求められます。
4つの適合は、バラバラの検証項目ではなく、1つの価値提供の流れをかたちづくる“つながった問い”です。そのつながりを意識して、柔軟に立ち戻りながら検証を重ねることが、プロダクトや事業を確かな成長へと導くカギになるのです。