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新卒で入社してまだ数カ月なのに「仕事で成長できる見通しが持てない」と言い出した部下に、「そんなことでは、どこに行っても務まらないぞ」と諭す上司。考え直してくれたものと思っていたら、退職代行業者から会社に退職の連絡が……。昨今話題になることが多い退職代行サービスを使うデメリットと、使う人の言い分とは?

<登場人物>

石田(23歳): 大手保険会社の営業部門に所属する新卒社員
金原(44歳): 石田の上司

新入社員が会社を辞めたい理由は?

 夕方、金原のところに、部下の石田がデスクに神妙な面持ちでやってきた。石田は新卒入社してまだ数カ月の若い社員だ。折り入って金原に話したいことがあるという。

金原「どう?うちの部署にも慣れてきた?」

石田「はい、でも今のままだと、仕事で成長できる見通しが持てなくて……」

金原「入社して2カ月半だし、やっと慣れてきたところでしょ。まだこれからだよ」

石田「そうかもしれませんが、ここでは自分が成長できないというか、目指しているキャリア形成につながらないような気がして……」

金原「それは、別の部署に行きたいってこと?まさか辞めたいとか言わないよね」

石田「……」

金原「そんなことだと、どこに行っても務まらないぞ。もうしばらく頑張ってみたらどう?」

石田「はい……」

 覇気のない返事をして、石田は自分の席に帰っていった。金原は石田の様子が気になったものの、業務対応に追われて時間が過ぎていった。