“連想ゲーム”で
言語化力を鍛える

 そしておもしろいのは、連想形式で繋げていくと、バラバラに存在していた点の情報が線となり面となり、厚みを増して体系的な知識としてまとまっていきます。

 私は過去にこの発想で大人向けの図鑑(『齋藤孝の大人の教養図鑑』[講談社])を作ったことがあります。いわゆる「図鑑」でありながら、トピックの選択と並びはあくまで「~といえば」の法則で構成されています。

 たとえば「ダーウィン」といえば「進化論」、進化論は教会の教えと対立していたことから、教会との対立といえば「ガリレオ・ガリレイ」という発想です。順序とすれば「ダーウィン」→「進化論」→「ガリレオ・ガリレイ」→「コペルニクス」→「ケプラー」といったようにページが進んでいきます。

 まだこのあたりまでは、流れも自然で秩序立っているのですが、後半になっていくと「レーニン」→「ペレストロイカ」→「ベルリンの壁」→「進撃の巨人」→「わが子を食らうサトゥルヌス」と、私自身も予想しなかった方向へ繋がっていきました。

 そして、この予期せぬ繋がりを知ることこそが、知識と言語化力を高めるうえでとても大切なことなのです。

 情報とは、それだけを単体で記憶しても「雑学」でしかない場合が多いですが、このように連続した形で他の情報と繋ぎ合わせ、集合知として体系化することで「教養」へと昇華します。

 私自身もこれまでの人生で様々な経験を経ながら、新しい知識や価値観に触れるたびに、情報が地層のように重なり、頭と心が耕されていくように感じてきました。知識が立体化して豊かに膨らんでいくような感覚です。

 知の深みや広がりを自分の中で感じ、そのうえで言葉を会話や文章で紡いでいくことで、私たちの言語化力は高められていくのです。

 言葉を別の言葉に繋げることが得意な人は、発想力そのものを無限に広げていける人でもあります。