たとえば、「地球温暖化が今後も進む」が起点であれば、「夏が長くなり秋が短くなる」→「秋服が売れなくなる」→「アパレル業界の戦略が根本から変わる」→「繊維メーカーが生産ラインの大幅な調整」といったように延々と繋げていくことができるはずです。
あるいは、「秋がなくなる」→「お月見やお彼岸の風情が変わる」→「日本の文化が変わっていく」といったベクトルに連想力を働かせる人もいるでしょう。これが時に、新しいビジネスモデルの創成へ繋がっていくことにもなるわけです。
私の知り合いにもうすぐ還暦を迎えるという人がおり、彼は大学時代に「インターネット」という存在をはじめて知ったそうなのですが、「世界中のコンピュータを電話回線で結ぶことの何がそこまで革命的にスゴいんだろう」「ワープロの進化系みたいなものだろうか」としか思えなかったそうです。
一方、実業家の堀江貴文氏は、それを知ったときに「1000年に1度のビジネスチャンスが来た」と直感したといいます。まったく新しいインフラが世界を網羅する形で誕生することで、どのような可能性が考えられるか、その道筋が次々に連想できていたということなのでしょう。
“空気を読める人”に
備わっている文脈力
このように発想や概念を連想して繋げていく「連想力」もしくは「といえば力」に長けている人は、言葉を繋げるだけでなく、会話と会話、テーマとテーマを結びつけることも上手にこなします。
たとえば、AさんとBさんが自分の目の前で会話をしているとき、2人の話の内容を引き受けながら、「なるほどね。そういう意味でいえば…」といったように、会話を邪魔することなく流れにスムーズに乗っかっていくことができます。
2人が何にポイントを置いて話しているのか、そのポイントに対して「~といえば」で繋がるものは何か、それがこの場に適した内容なのかを短い時間で判断し、タイミングを見て「よし、今だ」とカットインします。