第46回は
疑問点が多かった

「一番つらいのは腹が減ることさ」屋村のセリフは、嵩(北村匠海)のモデル・やなせたかしが戦場で感じたことと同じであろうか。

 屋村が出ていってしまい、朝、パンを作る人がいなくなった。

「パンのにおいがせんお店ってこんなにさみしいがやね」としんみりするのぶ。風来坊の屋村が10年もこの場所にとどまったのは、幼いのぶが彼にいてほしいと願ったからだった。

 屋村が時々ふらっといなくなっていたときはどうしていたのか謎。

 先週も思ったが、10年パン屋をやってきて、朝田家の誰ひとり、パンを焼く技術を身につけなかったのか。そもそも最初、羽多子が屋村にパンづくりを習うのではなかったか。

 第46回は疑問点が多かった。

 屋村が釜のなかに乾パンのレシピを残していき、みつけた羽多子がそれをもとに見よう見まねで乾パンを作ることを決意。蘭子(河合優実)とメイコ(原菜乃華)も手伝う。だが、先週、陸軍が乾パンのレシピを持ってきて、屋村がそれを確認していたはずで。それをもらえば済むことなのだ。

『あんぱん』の脚本は中園ミホだが各週、脚本協力スタッフが存在している。半年もの長丁場なのでひとりで全部書くのは大変であるから、協力者の手を必要とするのは無理もないことだろう。山岡真介と三谷昌登のふたりが交互にクレジットされていて、第9週は山岡、第10週は三谷である。推測でしかないが、その協力スタッフとの引き継ぎがうまくいっていないのかもしれない。

 長丁場で関わるスタッフも多く、撮影が煩雑になる朝ドラではドラマトゥルク(作家や演出家とは異なる立場からリサーチや作品分析をサポートする専門職)を採用することを提案したい。

 配信時代、好きなときに何度も繰り返し見ることができるようになった。以前のように、朝、一回見たっきりで終わりでなく、何度も見て、感想をネットに書く文化が定着してしまったので、抜けが以前より可視化、および話題になってしまうからこそ、熱心な視聴者が感じる矛盾や抜けをチェックすることも必要になっているのではないだろうか。

「泣きながら死者の乾パンを食べた」阿部サダヲが見せた屋村の過去が壮絶すぎる【あんぱん第46回レビュー】

 「泣きながら死者の乾パンを食べた」阿部サダヲが見せた屋村の過去が壮絶すぎる【あんぱん第46回レビュー】