幻想の急騰株、なぜ買われた? なぜ売られた? 誰もが陥りがちな“期待バブル”の罠とは?
最速でお金を増やすなら「小型株を1つだけ」がいい。少額から始める個人投資家にとって、おすすめの投資は「FX(外国為替証拠金取引)」でも「仮想通貨」でも「投資信託」でもない。「小型株集中投資」が、いちばんのオススメなのだ。大学時代にアルバイトで貯めたタネ銭で投資を始めて、就職してから大きな資産を築き、1銘柄だけで利益1億円をゲット。そんな夢物語のような話を現実のものにした個人投資家・遠藤洋氏。自らの経験と再現性のあるノウハウを凝縮した著書『10万円から始める! 小型株集中投資で1億円』(ダイヤモンド社)は、「小型株×集中投資」という一般的には“リスクが高い”とされる手法が、実は堅実な投資であることを教えてくれる。シンプルかつ徹底したルールをわかりやすく解説しつつ、「銘柄選びの視点」「売買のタイミング」「メンタル管理」に至るまで、実践的で本質的な内容がぎっしり詰まる。守りに入るだけでは、思ったように資産は増えない――攻めの投資で、比較的短期間でお金の不安を解消したい人に向けて、経営者、上場企業役員、医師、弁護士、ビジネスパーソンなど、数多くの個人投資家を指導し「勝てる投資家」を数多く輩出してきた敏腕投資家が徹底指南する。続編となる『小型株集中投資で1億円【実践バイブル】』では、さらに踏み込んだ実践的投資法を手とり足とり指南している。

短期急騰株に潜む2つのタイプ
短期間で大きく値上がりする株には、実質をともなって上がる株と、実質をともなわずに期待だけで上がる株があります。
●実質をともなって上がる株....【特徴】数カ月かけてじわじわ上昇
●期待だけで上がる株...............【特徴】短期間で急上昇・急下落
「期待だけで上がる株」の正体
期待だけで値上がりする株は、商品・サービスがリリースされて実際に売れる前(場合によっては商品・サービスが未完成の状態で)投資家の期待だけで値上がりするようなケースです。
たとえば、こんな会社です。
●がんの特効薬などを開発中の会社
●海外進出計画のある会社
●目新しくて一見すごそうな新規事業計画のある会社
●有名企業との提携を発表した会社
株価の「期待先行」リスク
いずれも、まだ売上増などの実質がともなっていない段階にもかかわらず、投資家の期待が先行して買い注文が殺到し、株価が急上昇するケースです。
未確定要素を前提にした期待だけの株価上昇は、短期間で急上昇するという特徴があります。しかし、その後、実質がともなわないと市場が判断すると、途端に売り注文が殺到して株価が急落します。
極端な例になると、2016年のブランジスタ(6176)のように、午前中にストップ高をつけたかと思うと、その日の午後にストップ安になったケースもあります。
実質をともなう堅実な株の特徴
一方、実質をともなって値上がりする株は、実際に商品・サービスが売れてから(場合によっては決算発表後に)上昇します。
たとえば、こんな会社です。
●便利なデバイスを発売して売り上げが急拡大している会社
●新発売したゲームがブームになっている会社
●テレビCMを打ちはじめた会社
●目立たないものの着実に業績を伸ばしている会社
売上増にともなって時間差で株価も上昇するため、期待だけで急上昇する銘柄に比べてゆっくりと上昇していく傾向があります(なかには業績が急拡大して、株価が急上昇するケースもあります)。
株式市場に必要な「人間の想像力」
いずれにしても、「株は人間が売り買いしている」ということを忘れてはいけません。
最近は、AI(人工知能)が介在する売買も増えていますが、パソコンやスマホの画面の向こう側には、基本的には「生身の人間」がいるということを頭に入れて、想像力を働かせるようにしましょう。
株式市場の原則を思い出そう
基本的なことですが、株式市場は株を「売る人」と「買う人」の両方がいてはじめて成り立ちます。
株を売る人は持っている株に見切りをつけて売り、株を買う人は値上がりすることを見込んで買います。株を買った背景には、その株を売った人が必ずいるということですし、逆に株を売った背景には、その株を買った人が必ずいるということです。
あなたが株を売る(買う)ときには、逆のポジションをとった投資家が必ずいるということです。
※本稿は『10万円から始める! 小型株集中投資で1億円』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。