じつは「シーンや相手によって声色や話し方は変えるもの」というのは思い込みで、「声色や話し方は変える必要がない。むしろ、一貫性があるほうが信頼される」ものなのです。

 その一貫性を持った「伝わる声」をつくるための基本を見ていきます。

 ここで重要なのは、無理につくり上げた声ではなく、あなたの自然な地声をベースにすることです。

 とにかく「自分らしく話してみる」こと。

 人はリラックスした自然体の人を好みます。「うまく話さなくては」と、力むのはもう終わりにしましょう。

 自信満々で「立て板に水」で話す人よりも、たとえ自信がなくても自然な声で話す人のほうが、より誠実な印象をあたえます。

 自信がないままでも大丈夫。

 いきなり「好印象」を狙うよりも、印象を悪くしない話し方を目指しましょう。

 そうすれば気持ちがラクになり、呼吸が深くなって、「伝わる声」も出やすくなります。

 その声で「伝わる話し型」に言葉をあてはめれば、自然なうえに印象もよくなりますよ。

伝わる声を出すために
エネルギーを補充する

 質問です。

 声を生み出すエネルギー源はなんだと思いますか?

 ボイトレで同じ質問を生徒さんにすると、さまざまな答えが出てきました。

「感情」「言葉の強さ」「やる気」「気合い」……。

 どれもそれっぽいですが、本稿の正解は「呼吸」です。

「なんだ、そんなことか」と思われたでしょうか?

 しかし、これまでにボイトレの生徒さんで、声のエネルギー源を「呼吸」と答えた人はほんのひとにぎりでした。

 それほど、呼吸は当たり前すぎて、意識しない存在になっているのです。

 そもそも、声が出るしくみをご存じでしょうか?

 私たちの声は、息の力で声帯をぶるぶる振るわせて生まれます。

 話すためには、しっかりと息を吸うことが重要です。にもかかわらず、息を十分に吸わずに話しはじめる人がとても多いと感じます。プロでもほとんどの人が気づいていません。