「帰ってきたら撮る」…のぶが最後に夫の写真を撮らなかった“ある朝の選択”【あんぱん第48回レビュー】

脚本は気になるものの
役者たちがいい雰囲気の写真撮影

 家族(それもなぜか若松家はお母さんだけ)だけで地味に行われた結婚式の日、屋村(阿部サダヲ)が撮影して、集合写真に写っていない(番組公式SNSでは屋村が写っているバージョンが公開されているが)。このときは思わなかったのだろうか。

 いや、屋村がいなくなって改めて、彼の不在をさみしく思っているのだと思うことは全然可能である。とはいえ、どうも最近、脚本に気になる箇所が増えてきた。

 長丁場の朝ドラはところどころで疲れを感じさせるときがある。今回は、このあとの戦争編に力が入っているのではないだろうか。

 中園ミホが、「戦争パートを書くためには通常の4倍くらい時間がかかった」とインタビューで語っているので、そっちに力を注いでいるためではないだろうかと推察する。

 気になるところはあるものの、写真を撮る場面は、みんなの自然な笑顔が出ていい雰囲気だった。

 現存する当時の写真を見ると、どれもこれも、いかにも記念写真という感じの、姿勢良くしてカメラ目線のものばかりだ。ところが『あんぱん』の世界では自然な動作や表情を切り取っている。あとで見返したとき、きっととてもいい思い出になるだろう。次郎は先進的な考え方をした人なのだと思う。

 次郎はのぶに、父・結太郎(加瀬亮)はどんな人だったのか尋ねる。のぶは嵩(北村匠海)の描いた絵を見せる。父の写真はないけれど、絵として、大事な瞬間が残っている。これはとても重要なことである。嵩はとてもいいことをしたのだ。

 結太郎には写真がなく、彼を思い出させるものは帽子と、この絵なのだ。あと羽多子(江口のりこ)宛ての手紙の数々なのだ。

 それから家族そろってのぶの少女時代の話に花を咲かせる。「はちきんおのぶ」と呼ばれていたのぶがずいぶん変わっていまや「愛国のかがみ」だと語っていると、民江(池津祥子)率いる国防婦人会の面々が血相を変えてやって来た。