Oさんのようにあまりにも不安が先立つと、「エイヤー」と行動に踏み切る勇気が出ず、それから前に進めない。
子育ては毎日同じルーティーンの繰り返しではないと書いたように、まさに試行錯誤の連続である。親のペースで物事が進めば問題はないが、子育ては一方的な作業ではなく、親と子どもの相互作用の中で成り立っている。
いくら親がこうしようと考えて動いても、子どもの方が受け入れなかったり、提供されたものをうまくかみ砕くことができなかったりするとなると、子育ては停滞してしまう(離乳食はまさにそれを象徴するものかもしれない)。

橋本和明 著
臨機応変さや柔軟さがある人にとっては、「なんだそれぐらい」と思うかもしれない。離乳食もそこまで厳格にはできないので、ある意味「いい加減」でいいと考える人もいるに違いない。
一方で、子どもが食べ物を喉に詰まらせることを想像すると、大きな恐怖が伴うのはもっともではあり、そんなときには知っておくべき対処法もある。
例えば、0歳児の場合は背部を手のつけ根で5~6回叩いたり(背部叩打法)、胸の真ん中にある硬い骨の上を押したり(胸部突き上げ法)、1歳以上の子どもの場合はみぞおちの少し下に握りこぶしを当て、反対の手で握りこぶしを包んで、一気に斜め上に引き上げたり(腹部突き上げ法、ハイムリック法)、それで異物が出なければ、立て膝に乗せた背部叩打法も行い、ハイムリック法と繰り返す。
これを知っているだけでもずいぶん安心感が違うし、離乳食を進めていく上で勇気となろう。