
核家族化、都市化が進んだこの半世紀ほどの間に激増した「ワンオペ子育て」。母親は働きながらの育児に疲労し、心身ともにギリギリの状態であることが多い。良識ある祖父母として、孫や子育て夫婦とどう向き合っていくべきか。320万部の大ベストセラー『女性の品格』の著者であり、教育のスペシャリストが共働き世帯の支え方を説く。※本稿は、坂東眞理子『祖父母の品格 孫を持つすべての人へ』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。
母親を追い込む
ワンオペ子育て
子育てで一番大変な思いをしているのは誰でしょうか。やはり親の責任が重く、特に母親は疲れています。令和の今日でも、自分の身に代えてもこの子を一人前の大人に育てるのだと強い責任感を持って全身全霊で育児をしている母親が多数います。
現在は時代も変わりつつあり、子育てに関わる父親も増えてきましたが、まだまだ父親は「仕事」のために家を離れている時間が長い傾向があり、多くの母親は自分ひとりで毎日毎日子育てに奮闘しています。
しかも子どもは想定外のことばかりしでかします。ケガをした、風邪を引いた、熱を出した、もどした、下痢をした、機嫌を損ねてぐずる。思うようにならないことの連続です。子どもに振り回されて自分のすべきことができない、世の中から置いていかれる、という焦燥感にもさいなまれます。
ほかの母親はもっとうまくやっているのに自分はダメだ、などと劣等感を抱いてしまうこともあります。こうした母親だけが育児を抱え込む、いわゆるワンオペ子育ては核家族化、都市化が進んだこの半世紀ほどの現象です。