米トランプ政権との対立が深まる中、中国の通商交渉担当者の態度から、習近平国家主席が今回の貿易戦争で掲げる主な目標が垣間見えた。前回とは同じようにはさせないということだ。中国の何立峰副首相は、5月中旬にスイス・ジュネーブで行われた協議で、トランプ政権から米中関税合戦の90日間「停戦」を引き出した。同政権はそれまで他国に認めたような関税政策の一時停止を中国には拒否していた。世界中の投資家や市場に広がる不安がこの合意で沈静化した。だが、ここにきて双方が合意条件を守っていないと相手に不満を示し、停戦合意は危機にひんしている。世界の投資家や企業の間に再び動揺が走っている。嵐の中心にいるのが習氏の経済の門番である何氏だ。今回の貿易戦争に対する中国の戦略は、第1次トランプ政権時とは全く異なることを同氏は明確にしている。