
世界初のロボット掃除機として大ヒットしたルンバ、オークション全盛期に出てきたメルカリ…イノベーションに成功したアイデアには、共通点があった。多くのヒットを飛ばしてきたビジネスデザイナー・今井裕平氏が事例をもとに解説する。※本稿は、今井裕平『すごいアイデア「尖らせて売る」ビジネス発想の公式』(祥伝社)の一部を抜粋・編集したものです。
ロボット掃除機「ルンバ」が
世間にもたらした大きな衝撃
アイデアづくりの最初のステップは、〈独自性〉の創出である。この〈独自性〉なくして新たなビジネスで勝つことはあり得ない。ここでの〈独自性〉とは、
(1)競合と差異がある
(2)その差異が圧倒的に大きい
この2つを満たすアイデアと定義する。
「圧倒的な差異」を具体的にイメージしてもらうために、掃除機のルンバを例に挙げる。
ルンバには従来の掃除機と決定的な違いがある。今では当たり前のように思われているが、それは「自動」であるということだ。これまでの掃除機は「手動」を前提にしていたが、ルンバは人の手を介することなく、自動での掃除を実現し〈独自性〉を築いた。
この偉大さにピンとくるであろうか。もう少し突っ込んだ話をしてみたい。もしあなたが掃除機メーカーの開発担当だったとする。上司に新しい掃除機を企画せよ、と指示されたらどのような掃除機を考えるだろうか。
そのときに「自動」という視点で発想することができるだろうか。おそらく、吸引力や軽さ、コードレスなど、「手動」を前提にした掃除機を企画するはずだ。