L2では、具体的なアイデアに対する新常識を公式で記述できるようになる必要がある。いくつかイノベーティブな商品やサービスを例に挙げるので練習してみよう。

図P44同書より転載 拡大画像表示

長文が主流の時代に
革新をもたらしたX

 ひとつめはダイソンの扇風機だ。公式に従ってA(常識)→B(新常識)で記述してみてほしい。対義語で記述することを忘れずに。答えは、

羽根あり→羽根なし

 次のような記述の仕方もあり、短い単語で、記述しやすいほうを選択すればよい。

羽根(着眼点):あり(常識)→なし(新常識)

 続いてはジャンルを替えて、SNSにしよう。X(旧Twitter)の新常識を記述してみてほしい。今では当たり前のサービスだが、リリース当時はどのような新常識があっただろうか。ヒントは、当時はFacebookやmixiが主流であった、だ。答えは、

投稿コンテンツ:大→小

 もう少し具体性を持たせて、

文字数:多→少

 としたほうが分かりやすいかもしれない。

 Xの特徴のひとつは、投稿の文字数が140文字に制限されていることだ。これはイノベーションと呼ぶに相応しい新常識だったのだが、理解できるだろうか。

 当時は、ブロードバンド普及の真っ只中であった。それに伴い、テキストだけでなく画像も投稿対象となった。この流れは加速すると誰もが考え、テキスト→画像→動画と進んでいくのは必然だと思われていた。公式で表現すると、プアコンテンツ→リッチコンテンツというトレンドとなる。

 このトレンドに対してXは、140文字という制限を行なった。にもかかわらず、現在の1日のアクティブユーザは2.5億人(2024年3月18日現在)。当時のトレンドと真逆の投稿スタイルを提示し、巨大SNSプラットフォームとなった。

 まさに着眼点で勝負が決まった事例である。このように、新常識は従来の常識の反対側にあるものだが、それが出た後には「当たり前」に思われているものである。だからこそ新「常識」なのだ。