人々の行動を大きく変えた
メルカリの新「常識」

 もうひとつ、身近なサービスで練習してみよう。お題はメルカリである。何が新しかったのか。私たち生活者に、どのような行動の変化をもたらしたのかを考えてみてほしい。答えは、

B to C→C to C

 別の表現をすると、

購入先:法人→個人

 私たちが何か購入をするとき、お店(法人)から購入するのが一般的である。それに対して、メルカリは個人から買うことを日常にした。もしかすると、ヤフオク!(現Yahoo!オークション)などのオークションサイトが既にあった、という指摘があるかもしれない。

 メルカリとヤフオク!の一番の違いは、購入方法である。公式で表現すると、

競争あり(1:N)→競争なし(1:1)

 となり、メルカリは当時のC to Cに対して、新常識を提示したと考えることもできる。

 このように記述すると、着眼点の鋭さが伝わりにくいかもしれない。思い出してほしいのは、掃除機の企画でルンバを発想できたか、という点だ。

 同様にオークション形式が全盛のときに、価格で競わせないプラットフォームを発想できたか。または発想できたとしても、現在のような巨大プラットフォームになるイメージを持つことができたか、ここが大事なポイントである。

図P49同書より転載 拡大画像表示